イースタンユース「旅路ニ季節ガ燃エ落チル」

1990年代の後半に日本ではメロコアがブームになった。ハイスタンダードがそのなかでは一番有名。ほかにはスネイルランプがヒットチャートをにぎわせてセルアウト。英語歌詞のバンドも多くて、ハスキングビーとかブラフマンとか、メロコア周辺にいたとにかくたくさんのバンドが日の当たるところに出てきた。メロコアはほどなくして、青春パンクに取って代わられていく。パンクと名乗りつつもパンクの要素を排し、歌う内容はマイルドに。その結果、青春パンクは商業的により成功したジャンルになった。一方、メロコアは青春パンクと入れ替わるように衰退。

リアルタイムで経験したメロコアブームは↑こんな感じだったと記憶しているのだけど、どうだったかな。当時スカコア、エモとかも一緒くたになって出てきた印象があるので、全部ひっくるめてメロコアと言っちゃってる。

で、イースタンユースだ。メロコアかどうかはともかく、90年代後半に注目を浴び始めたバンドだ。このアルバムは1998年発売。まさにドンピシャのタイミングじゃないか。本人たちのルックスも音も歌詞も泥臭さ全開。①夏の日の午後の1曲だけで買ってよかったと思えるほどすばらしい。もっとも日本語にこだわった文学的な歌詞というものなんだろうが、よく分からない。歌詞がなんであれ、このメロディーと熱量が魅力的だ。

パンクというと単純な印象があって、実際にそんな難しいことをやっているわけではないんだろう。けれども個性があるバンドは簡単ななかでもほかにない個性を出してくる。イースタンユースがまさにそう。正直、このアルバムを買ったけども、今となってはよくあるロックバンドでしかないのだろうと思っていた。ところが改めてじっくり聴いてみると、今でもほかにいないなと思わせる個性があった。それがメロディーと熱量だ。

青春パンクには出せないこの暑苦しさが何度も聴きたくなる魅力を生み出している。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年9月。

 

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