ザ・コブラツイスターズ「蛇の道」

2003年発売のベストアルバム。このバンドは1999年に「運命船サラバ号出発」でデビュー。この曲を当時聴いたことがあって、いい曲だなと思ってた。田舎に住んでいたけど、市街地を流れる川の河川敷で何組かのバンドが出てくるイベントがあって、そこにこのバンドが登場したのを見に行ったね。

とても男くさい。世紀末のあのころはどこか醒めた態度がはびこりがちな時期でもあったけど、このバンドは曲のタイトルも音も暑苦しい。それがいいわけだ。

①運命船サラバ号出発は飛びぬけていい曲。彼と彼女を対比させ、さらに自分の立ち位置を模索する。②夢の旅人、③サクラサクはどこかで聴いたことあるような懐かしいメロディー。ロックや音楽は若い人が夢中になるものだけど、年とってからの方がグッとくる歌詞とメロディーはある。②は特にそう感じる。今さら気付いても遅すぎるかもしれないけど。

全16曲。70分以上もある。聴き応えはたっぷり。ウィキペディアをチェックして驚いたけど、シングルの多くがCMやテレビ番組のタイアップがついている。メチャクチャ推されていたバンドだったんだなあ。何かどこか歯車がぴたっと合うところがあれば、大きくブレイクしていた気がする。ちょっとだけタイミングがずれてしまったんだろうな。

オッサンになった今だからこそ、若い人に聴いてほしいと思える1枚だ。ちょっとセンチメンタルな気分になる。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年2月。メルカリでも300円。

ポール・ウェラー「22ドリームス」

ポール・ウェラーのアルバムは280円コーナーでよく見る。必ずあるわけではないが、ちょくちょく入荷されるイメージ。気がついたらかなり集まっていた。

もともとポール・ウェラーのソロにいい印象はなかった。ソロとしての出世作である「スタンリー・ロード」を聴いたときにかなりルーズなロックだと思ったのだ。ダラっとしているというか。ザ・ジャム時代と比べて、モヤモヤするなあって感じていた。ちなみに現在、このスタンリー・ロードも280円で買える。

で、この22ドリームズなんだか、ジャケットがさわやかサイケって感じ。真ん中には鯉のぼりがある。日本好きだっけ? それはともかく、全21曲が夢見心地なザクザクっとしたギターミュージックでつづられる。ジャケットの印象は間違っていない。

ミュージシャンがすごく充実していることがこのアルバムからうかがえる。すごく楽しそうで、のびのびと音楽を作っている。ザ・ジャム時代のポール・ウェラーを求めても、ここにはいない。年相応のロックンロールがここにはある。

全21曲が若干間延びしているのは間違いないが、安心して聴ける。ソロ作はたくさんあれど、かなり上位といっていい。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=5月。ポール・ウェラーのCDはよく280円コーナーにある。メルカリでは300円から2000円超えるもまで。

デヴィット・ボウイ「アワーズ」

デヴィット・ボウイをこのアルバムで評価するのは間違っているかもしれない。2016年1月に亡くなってから、もう2年も過ぎていた。つい最近だと思っていたのに。そんな彼のベストはやっぱりジギー・スターダストになるんだろう。1999年に出たこのアルバムがいくら280円でお得だからってボウイのベストアルバムだなんて言わないし、言えない。

日本盤にはザ・イエローモンキーの吉井和哉によるコメントもついている。吉井が洋楽ファンの間で有名になったのはレディオヘッドのokコンピューターのライナーノーツではないか。確か「対バンしようぜ」って内容だったと思う。さすがにボウイ相手に対バンを望んだりはしていない。ファンとしての思いがつづられている。

ただ吉井のようにベタボメするようなアルバムではない。ボウイの声は枯れている。ずっと追いかけているリスナーなら、この声を渋みとして受け入れられるのだろう。聴かせる音楽であって、躍らせる音楽ではない。⑤セブンの優しいボーカルが好き。

全体的にもっさりしているのをよしとするかどうかで評価が分かれそうだ。これベテランの妙と思うか、年老いたとみるか。⑦プリティシングス・アー・ゴーイング・トゥ・ヘルを聴いて、いいと思えばこのアルバム全体に満足いくはず。ダメなら合わないと判断していい。

【購入データ】購入店舗=福岡飯倉店。購入日=2018年5月。ボウイのアルバムはあまり見ないかな。

スーパーカー「ジャンプ・アップ」

1999年3月発売。初回限定スペシャルパッケージ。シングル「マイガール」収録。のちにエレクトロニカに接近するスーパーカーだけど、この時期はまだギターロック。

倦怠感というか気だるい感じが漂う。スーパーカーがオリコン上位をにぎわすバンドにならなかったのは、この倦怠感が原因だろう。例えばミスター・チルドレンは倦怠感を歌う曲はあっても、倦怠感を表現しているバンドじゃない。「前に向かって進め」的なバンドだ。だからこそ大衆性を獲得し、売れっ子バンドになっているんじゃないか。

んで、スーパーカーは音や声に倦怠感がある。これはロックンロールにはとってもいいことだ。だけど、ビッグヒットを生み出すことはない音でもある…たぶん。まあ、そんなことはどうでもいいとして、このバンドがいいことには変わりない。十分に成功した部類だし。

全11曲。起伏はない。ベストな1曲があるというより、流れで全曲を聴きたい。のちのエレクトロニカ接近の萌芽も見られる。午後にのんびり聴きたい1枚だ。

【購入データ】購入店舗=福岡長住店。購入日=2018年5月。280円コーナーでたまに見る。

トーキョー・ナンバーワン・ソウル・セット「9 9/9」

中学生か高校生くらいのころ、夜のNHK-FMでミュージックスクエアという番組があって、よく聴いていた。ブルーハーツの解散発表も聴いていた。この番組はヒットチャート上位をにぎわす曲だけでなく、結構幅広く紹介していたので、お金のない学生にはいろんな邦楽を知るいいきっかけになっていたと思う。

トーキョー・ナンバーワン・ソウル・セットもまたよく紹介されていた。ヒップホップなんだけど、独特。語りに近いが、語りと言い切るには御幣がある。万人受けはしないが、コアなファンがいそう。とにかく個性が強かった。

1999年発売。サードアルバム。③先人達の夢は不穏なムードをかもし出していて、動悸が早くなりそう。④キーワードは歌モノっぽくて聴きやすいんじゃないか。⑥サンデイはシングルにもなった代表曲。朝の都会という感じ。⑨夜明け前も不穏だな。

聴いていて全体的に焦燥感に駆られるというか、いてもたってもいられない気持ちになる。世紀末はこんな気分だったんだろうか。そこが病みつきになりそう。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年2月。280円コーナーでたまに見る。

フー・ファイターズ「ワン・バイ・ワン」

元ニルヴァーナが率いるバンドというのは分かっていたけど、今までまったく聴いてこなかった。泥臭いUSロックをやっているという勝手なイメージを持って敬遠していたのだ。見た目の濃さが原因だろう。

発売は2002年。輸入盤。ボーナスディスク付きのスペシャルエディション。聴いてみると思ったより泥臭くない。洗練されているとまではいえないが、まとまった演奏をしている。ひねくれているところはなくストレート。③have it allは美しいメロディーを持つ良曲。激しい曲もあれば、ミディアムテンポもあり。バランスはある。

全11曲でアルバムとして統一感を感じる。楽器と歌が一定のトーンに保たれているからかな。

ついでにボーナスディスクもチェック。B面曲とライブ曲の全7曲。②シスター・ヨーロッパがサイケ色があって良曲。というかこのバンドとは違う雰囲気がある。それよりもどこかで聴いたことがある。念のためネットで調べると…イギリスのポストパンクバンド、サイケデリック・ファーズのカバーだった。一時期、聴いていたのでこの曲も耳にしていたんだろう。③ダニー・セイズはラモーンズのカバー。④ライフ・オブ・イリュージョンはジョー・ウォルシュのカバー。どれもカバー曲は原曲に近く、自分たちの色をそんなに出していない。

⑤⑥⑦はライブ曲。⑥モンキーレンチが代表曲なのかな。同じ280円ならボーナスディスク付きを買った方が楽しめるはず。

【購入データ】購入店舗=天神。購入日=2018年4月。フー・ファイターズのCDは280円コーナーで割りと見る。メルカリでみるとボーナスディスクがあるかはわからないけど、400円から700円くらい。

アンドリューW.K.「ザ・ジャパン・カバーズ」

変なCDを見つけてしまった。アンドリューWKについては知っていた。面白いロックをやっていたのを覚えている。ロッキンオンだったかで取り上げられていて、もてはやされていた記憶がある。で、このCDだ。発売は2008年。ブックオフでパッケージを手にとって首をかしげてしまった。曲タイトルが日本のポップスだったから。

そう、アンドリューWKが日本のポップスをカバーした企画アルバムなのだ。1曲目がキセキで、まったく想像がつかない。恐る恐る聴いてみると結構よかったんだな。②ギロッポンはダメ。③羞恥心もう~ん。④リンダ・リンダ、⑤小さな恋のうたはよかったな。その後もいいのと微妙なのが混ざって続いていく。

どうしてこの企画を考えたかは分からない。そもそも曲として微妙なものもいくつかカバーしているのを考えると、本人ではない誰か日本のレコード会社の思惑を感じないでもない。②③の英語カバーを聴きたい人がいるとは思えないし。

トータルで聴いてみれば悪くはないが、定価では買いたくないなあというシロモノ。280円で、かつアンドリューWKのことを知っているならぜひ手に入れたい。聴いていて面白いのは間違いない。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年6月。アンドリューWKのCDはよく280円コーナーでみる

レッド・ツェッペリン「ライブインロッテルダム」

ライブ録音されたのは1980年6月21日のオランダ公演。日本語で書かれた帯が付いていたけど、もとはブートレグ。「the swingin pig」ってパッケージに書いてあるけど、これがブートレグのレーベルだったような。ネットで調べたらアナログレコード時代からある音源のようだ。

1曲目はレインソング。この時期のツェッペリンはトレインケプトアローリンで始まってたはずだから、このCDはライブの後半を収録していて、前半は別で存在しているはず。一時期、ツェッペリンのブートレグを集めていたから、80年のライブ音源もいくつかあるのだが、あまり聴いていない。聴けばそれなりにいいのは分かっているけど、70年代前半の音源があるのに、あえて80年の解散前のライブを聴きたいとは思わなかったからだ。

でも聴けばパワーにあふれているのは間違いない。ギターはきれいに録音されている。since ive been loving youのイントロのギターはしっかり入っていた。ジミー・ペイジは絶好調ではないかもしれないが、がんばっている。この数か月後にジョン・ボーナムの死によって解散してしまう。公式ライブ盤では80年のライブはなかったような気がするので、この時期のライブをCDで聴けるのはレア。1枚くらいあっても困るもんじゃない。

【購入データ】購入店舗=天神。購入日=2018年6月。ブートレグと思われる。

ダリル・ホール&ジョン・オーツ「グレイテスト・ヒッツ」

超有名デュオだけど聴くのはこれが初めて。まるで日本のポップスを聴いているみたい…という印象を抱くのは、多くの日本のポップスがこのデュオに影響を受けているからなんだろう。オリジナルがこっちなわけだ。

このアルバムは「ロックンソウル パート1」という名前でも呼ばれているみたいだ。①say it isnt soから⑫wait for me(ライブ)まで初めて聴くのに初めてじゃない感じがいい。80年代の洋楽のイメージそのもの。どこかで聴いたかもと懐かしさすら感じる。

懐かしいという感想を持つことは古臭いと感じていることでもある。複雑な音楽が増えた今、これくらい素直な曲がもっとあってもいいような。⑦プライベートアイズがハイライト。ブルーアイドソウルという白人によるソウルを聴くなら、まずはこのベストアルバムから入るのもいいんじゃないか。

【購入データ】購入店舗=福重店。購入日=2018年5月。輸入盤。

アンダーワールド「1992-2002」

2003年発売のベストアルバム。2枚組み。アンダーワールドはオリジナルアルバムをいくつか持っているのでいらないかとは思ったが、280円という安さにまあいいかとなってしまった。聴いてみたら、買ってよかったなと思えたのでよし。

ディスク1の冒頭からすばらしい。①ビッグマウスはレア曲らしいのだが、音が鳴り出した瞬間から引き込まれる魅力がある。ディスク2の方はボーンスリッピーがあるなど、ヒット曲を中心としているが、ディスク1も負けていない。むしろディスク1のハードボイルドな感じが好きだ。ディスク2は大半の曲がライブCD「エブリシング、エブリシング」と重なっているし、お祭りって感じ。

お祭りとはいったものの、冷徹なビートではある。ダンスミュージックというと享楽的なイメージを持つ人もいるだろうが、アンダーワールドは感情をぶちまけるような曲よりも冷静な曲が多い。ただ、ライブだと印象が変わる。フジロックで見たときは普段、踊らない自分も踊った。熱狂し、感情的になった。CDとライブが違う音楽のひとつである。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年2月。輸入盤。