ベント・ファブリック「ジュークボックス」

ベント・ファブリックというピアニストが7人のヴォーカリストとコラボして作ったアルバム。2006年発売。当時、ベント・ファブリックは81歳だったというからすごい。

おっさんというより、おじいちゃんが作った音楽だけど、びっくりするくらい今風の音楽になっている。インスト曲の⑦ハブ・ア・ブレイクを聴いても80歳代とは思えない。日本盤だったのでライナーノーツを確認すると、ベント・ファブリックはデンマークのミュージシャンで、日本ではこれがデビュー盤だけど、デンマークではベテランで精力的にライブ活動を当時でもやっていたそうだ。

ライナーノーツを読みすすめると、通常のアルバムとは作り方が違うことがわかってくる。ベント・ファブリックが弾いてきたピアノの音を使って、さまざまなミュージシャンが曲を作ったという感じ。ベント・ファブリックがバンドリーダーとなって、ほかのミュージシャンたちとセッションして作ったのではない。というか顔を合わせていないそうだ。

①ジュークボックスが一番有名な曲なんだろう。跳ね回るようなピアノがいい。②エヴリタイムの落ち着いたところもいい。ピアニストのアルバムなのにピアノが前面に出すぎていない点に物足りないと感じるかもしれない。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年9月。

イエス「ビッグ・ジェネレイター」

1987年発売の12枚目。日本盤でライナーノーツ付き。イエスにはプログレのイメージが強いが、このアルバムは80年代的ポップアルバムなんじゃないだろうか。キラキラして肩パットのごつい服を着て、夜の街をスポーツカーで走るみたいな音楽だ。それは①リズム・オブ・ラブと②ビッグ・ジェネレイターという冒頭の2曲が象徴している。ものすごくスタジアムロック。ださくなっても不思議じゃないのに、ちゃんとかっこいい音楽に仕上がっている。どの曲も耳に残る。④オールモスト・ライク・ラブは歌がうまいな。

1曲が長い印象があるが、まあ仕方ない。あまり見ないとはいえ、見つけたらぜひ買っておきたいCDじゃなかろうか。定期的にリピートして聴きたい。

【購入データ】購入店舗=福重店。購入日=2018年5月

 

 

NOFX「the longest ep」

アメリカのパンクバンドNOFXのepを集めたアルバム。2010年発売。全30曲入りとお得感がある。

いつものツービートで疾走するドラムに伸びやかなギター。ベースはガリガリとマシンガンのよう。アコースティック曲が3曲あるけど、基本的にはパブリックイメージ通りのNOFXだ。

ぱっと気に入った曲を。⑤kill all the white man、⑮golden boys、⑱im going to hell for this one、stralght outta massachusetts。中盤がいい感じ。

パンクのイメージ通りにとにかくテンポが速い.それでいてポップなのでパンク初心者にもNOFXはオススメ。自分がパンクをよく知らなかったときにもNOFXはすごくよく聴こえた。ブックオフには280円でよく見かけるイメージだ。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年5月。

 

 

モリッシー「ベートーベン・ワズ・デフ」

モリッシーのソロ。1993年発売のライブアルバムで、92年12月22日にパリで行われたパフォーマンスを収録している。全16曲。スミス時代の曲はない。日本盤で帯付き。

25年前のライブ盤だけにモリッシーは若い。モリッシーはモリッシーのままだけど、スミスとは違うってことはよく分かる。スミスはライブ盤「ランク」を発売していたけど、そこにある熱量とはまるで違う。ランクでは四方八方にバンドの勢いが炸裂していた。一方、このソロライブアルバムはあくまでモリッシーのみにスポットライトが当たっている。演奏が下手ということではない。モリッシーのサポートに徹している。モリッシーが好きなら、大満足の1枚だ。

それにしてもだ。相変わらずロッキンオンライターによるライナーノーツは何が言いたいのかよく分からん。分からない自分がアホなのかと思って、じっくり読み返してみたがやはり分からない。ライターの思い入れが強すぎるのか、または逆に何も書くことがなくて冗舌にするしかないのか。意味ありげに意味のない文章がとにかく書き連ねられている。こういうときは後者のような気がする。ライナーノーツは楽しみではあるが、基本的にはバンドの経歴含めた解説と、曲の特長等をまとめたものでいい。ライターの個人的な思い入れはいらない。これはロッキンオンの悪い癖だと思う。自分に酔った文章をロックの評論だと思っているのだろう。うまくハマれば面白いので、全くダメとは思わないが、このCDのライナーノーツはひどい。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年9月。

ロザリオス「colorado shit dog」

元ブランキージェットシティーの中村達也のプロジェクト。2002年発売のセカンドアルバム。ベースがTOKIE、ギターがカトウタカシ(スカパラ)。サックスに武田真治が参加している。

①からかっこいい。インストアルバムには退屈なものも多いが、このアルバムは終始ドガった部分を出しており、聞き手を落ち着かせない。次の展開はどうなる?ってずっと興味を持っていられるので、退屈さを感じているヒマがない。

②hit manがこのアルバムのキラーチューン。⑤blue blackは武田真治が気持ちよさそうに吹いている。⑦jumpin skin diversはてっきりjumpinの文字からローリングストーンズのジャンピングジャックフラッシュを連想したけど、全然違う。ギターが美しい旋律を奏でるゆったりとしたスタート。⑧がフジロックフェスティバルでの過去作のライブ音源なので、アルバムとしては⑦が締めの曲となるのだろうけど、まさにぴったり。4分以降からドラムを含めて叙情的になる。

ブランキーさはないので、そこは期待はしない方がいい。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年5月。

sir mack rice「right now」

予備知識なしでジャケ買い。①イエスタデイズヒーローからソウルな曲がスタート。このイントロの感じどこかで聴いたなあってくらい定番なもの。サビはデヴィット・ボウイの「ヒーローズ」を思い起こす。パクリとかじゃなくてヒーローという単語が被っているからそう聴こえるってだけだと思う。

発売は1992年。mack riceの生まれは1933年なので、59歳のときの作品ということになる。9曲中8曲を自身で作曲している。このアルバム以前にもずっと音楽活動をしてきているようだ。というか1960年前後に活躍したファルコンズというソウルグループに所属していたこともある巨匠なんだって。

ベテランなので安心して聴いていられる。②ユーアーソーファインはノリノリでゴキゲン。ブルージーな曲もある。④カバー・マイ・トラックスにはさわやかさがある。⑥アメリカ、ライト・ナウはしっとり。⑨マスタング・サリーが彼の代表曲。表記されていないボーナストラックも入っていてお得感あり。

楽しい音楽はやっぱいいなあと再確認できた。

【購入データ】購入店舗=兵庫県西宮北口店。購入日=2018年8月。あまり280円コーナーでは見ない。

ザ・ユーズド「ライズ・フォー・ザ・ライアーズ」

280円CDだからすごく欲しいではなく、ちょっと欲しい程度でも気軽に買える。ザ・ユーズドについては名前は知っていた。ストロークスに始まるガレージロック・リバイバルの流れにあるバンドという認識だった。で、そういうバンドはいっぱいあった。どれもこれも一度は聴いてみようと思っていたのだが、かといってCDを実際に買えたのは一部だけだった。数が多すぎてフォローしきれなかったのだ。それがこうして安く買えるようになったんだから、やっぱ聴いておかなきゃ。

このアルバムは2007年発売のサード。日本盤でボーナストラック1曲。

ガレージロックというより、メタルやハードロックの色が強い。ライブハウスを回る音楽というより、スタジアムロック志向だ。③ザ・バード・&・ザ・ウォームがシングル曲。メタル&ハードロックって感じ。④アースクエイクの出だしは好き。サビはやっぱりドラマチックになる。

ハードロックはすごく感情的な音楽だと思う。ギターは感情豊かだし、ボーカルは泣きそうな感じで歌ってる。人気ジャンルになったのもうなずける。一方で、ハードロックはダサい扱いされることが多い。感情に正直なところが音楽に現れているからか、単純だとバカにされがちだ。ビーズ(笑い)、ボン・ジョビ(笑い)みたいな風潮あったりするし。昨今はロックよりもヒップホップの方が勢いがあるから、ますますハードロックの肩身は狭いんじゃないか。

このアルバムが出た10年前もハードロックは時代遅れだったろう。そういう状況でもザ・ユーズドはきっちり歌い上げている。⑨ファインド・ア・ウェイを聴いているとそう思う。あえて過去の偉大なハードロックバンドの名盤じゃなくて、このアルバムを聴く動機はリアルタイムだからとしか言いようがないが、全然ダメなアルバムということではない。及第点は超えている。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年4月。

 

シルバーサン「ユー・アー・ヒア」

シングルを詰め合わせた日本編集版。富士山や新幹線のイラストがジャケットになっていて、日本向けの特別なものなんだとうれしくなる。知らないバンドだったが、パッと見の印象でウィーザーっぽい音なのかなと思ったけどどうなのか。

発売は1997年。①last dayはパワーポップ。勝手にアメリカのバンドだと思っていたけど、イギリスっぽくもある。というか調べたらイギリスのバンドだった。具体的にどこがどうとか表現できないのがもどかしいが、ギターの音とメロディーがイギリスっぽいのだ。②lavaはコーラスが光る。きっとビーチボーイズが好きなのだろう。③trickle downの方がよりビーチボーイズを感じられるかもしれない。

甘酸っぱいだけじゃない。むしろ不気味な歌詞もある。後半の曲はギターのゆがみ具合も増している。単調にみえて飽きさせない引き出しの多さを感じる全10曲。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年6月。

リトル・リチャード「ロックス」

出所はよく分からないCD。ベストアルバムみたいなものだとは思う。音質はそこそこ良かった。引退しているけど、リトル・リチャードは今現在も存命で85歳なんだとか。

①tutti fruttiは有名曲。今の時代に聴いてもいい曲だ。ロックンロールの創始者の1人とされているが、①を聴けばよく分かる。…なんて書いているけど、もっと若い頃ににリトル・リチャードを聴いたときはそんなにピンときていなかった記憶がある。リトル・リチャードだけじゃない。ロックやジャズの過去の名盤というものを聴いても、ふ~んで終わっていた。若いときはリアルタイムで聴いている音楽の方がよく聴こえていたのだ。

ただ、段々と年を取ってオッサンになってくると、古いものか新しいものかはそんなに差を感じなくなってくる。ジャンルすらどうでもよくなってくる。細かいことは気にしなくなったというか。だから、若いときにリトル・リチャードや1950年代、60年代の音楽を聴いてもなんとも思わなくても、別に気にする必要はないんだろう。いつかいいじゃんと思えるときがくる。

①以外なら⑪リトル・リチャーズブギー。ノリがいい。15曲全部が2分以内に終わる。かつてのポップソングはインスタントラーメンを待つよりも短い時間でメッセージを伝えていたんだな。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年8月。

 

ジェイムス・ブラント「バック・トゥ・ベッドラム」

280円コーナーの常連といっていいほど、どこでも何枚もある。それだけ売れたということだ。人気に火をつけたのが②ユア・ビューティフル。彼の名前を知らなくても、この曲はどこかで耳にしたことがあるはず。

すんなり聴いていけるポップスが続く。ボーカルの声はセクシーさがあって、雰囲気がある。ただ、曲の個性は弱く感じてしまう。これがジェイムス・ブラントだ!みたいなグッとくるものがない。確かに②はいい曲だ。声もメロディーもいい。いっそのこと弾き語りアルバムぐらいに、そぎ落としたアレンジの方が個性を打ち出せたかも。アレンジが曲を〝平均化〟してしまっている。

2005年発売の日本盤。ボーナストラックは2曲。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年6月。どこにでもある。