ロザリオス「colorado shit dog」

元ブランキージェットシティーの中村達也のプロジェクト。2002年発売のセカンドアルバム。ベースがTOKIE、ギターがカトウタカシ(スカパラ)。サックスに武田真治が参加している。

①からかっこいい。インストアルバムには退屈なものも多いが、このアルバムは終始ドガった部分を出しており、聞き手を落ち着かせない。次の展開はどうなる?ってずっと興味を持っていられるので、退屈さを感じているヒマがない。

②hit manがこのアルバムのキラーチューン。⑤blue blackは武田真治が気持ちよさそうに吹いている。⑦jumpin skin diversはてっきりjumpinの文字からローリングストーンズのジャンピングジャックフラッシュを連想したけど、全然違う。ギターが美しい旋律を奏でるゆったりとしたスタート。⑧がフジロックフェスティバルでの過去作のライブ音源なので、アルバムとしては⑦が締めの曲となるのだろうけど、まさにぴったり。4分以降からドラムを含めて叙情的になる。

ブランキーさはないので、そこは期待はしない方がいい。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年5月。

sir mack rice「right now」

予備知識なしでジャケ買い。①イエスタデイズヒーローからソウルな曲がスタート。このイントロの感じどこかで聴いたなあってくらい定番なもの。サビはデヴィット・ボウイの「ヒーローズ」を思い起こす。パクリとかじゃなくてヒーローという単語が被っているからそう聴こえるってだけだと思う。

発売は1992年。mack riceの生まれは1933年なので、59歳のときの作品ということになる。9曲中8曲を自身で作曲している。このアルバム以前にもずっと音楽活動をしてきているようだ。というか1960年前後に活躍したファルコンズというソウルグループに所属していたこともある巨匠なんだって。

ベテランなので安心して聴いていられる。②ユーアーソーファインはノリノリでゴキゲン。ブルージーな曲もある。④カバー・マイ・トラックスにはさわやかさがある。⑥アメリカ、ライト・ナウはしっとり。⑨マスタング・サリーが彼の代表曲。表記されていないボーナストラックも入っていてお得感あり。

楽しい音楽はやっぱいいなあと再確認できた。

【購入データ】購入店舗=兵庫県西宮北口店。購入日=2018年8月。あまり280円コーナーでは見ない。

ザ・ユーズド「ライズ・フォー・ザ・ライアーズ」

280円CDだからすごく欲しいではなく、ちょっと欲しい程度でも気軽に買える。ザ・ユーズドについては名前は知っていた。ストロークスに始まるガレージロック・リバイバルの流れにあるバンドという認識だった。で、そういうバンドはいっぱいあった。どれもこれも一度は聴いてみようと思っていたのだが、かといってCDを実際に買えたのは一部だけだった。数が多すぎてフォローしきれなかったのだ。それがこうして安く買えるようになったんだから、やっぱ聴いておかなきゃ。

このアルバムは2007年発売のサード。日本盤でボーナストラック1曲。

ガレージロックというより、メタルやハードロックの色が強い。ライブハウスを回る音楽というより、スタジアムロック志向だ。③ザ・バード・&・ザ・ウォームがシングル曲。メタル&ハードロックって感じ。④アースクエイクの出だしは好き。サビはやっぱりドラマチックになる。

ハードロックはすごく感情的な音楽だと思う。ギターは感情豊かだし、ボーカルは泣きそうな感じで歌ってる。人気ジャンルになったのもうなずける。一方で、ハードロックはダサい扱いされることが多い。感情に正直なところが音楽に現れているからか、単純だとバカにされがちだ。ビーズ(笑い)、ボン・ジョビ(笑い)みたいな風潮あったりするし。昨今はロックよりもヒップホップの方が勢いがあるから、ますますハードロックの肩身は狭いんじゃないか。

このアルバムが出た10年前もハードロックは時代遅れだったろう。そういう状況でもザ・ユーズドはきっちり歌い上げている。⑨ファインド・ア・ウェイを聴いているとそう思う。あえて過去の偉大なハードロックバンドの名盤じゃなくて、このアルバムを聴く動機はリアルタイムだからとしか言いようがないが、全然ダメなアルバムということではない。及第点は超えている。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年4月。

 

シルバーサン「ユー・アー・ヒア」

シングルを詰め合わせた日本編集版。富士山や新幹線のイラストがジャケットになっていて、日本向けの特別なものなんだとうれしくなる。知らないバンドだったが、パッと見の印象でウィーザーっぽい音なのかなと思ったけどどうなのか。

発売は1997年。①last dayはパワーポップ。勝手にアメリカのバンドだと思っていたけど、イギリスっぽくもある。というか調べたらイギリスのバンドだった。具体的にどこがどうとか表現できないのがもどかしいが、ギターの音とメロディーがイギリスっぽいのだ。②lavaはコーラスが光る。きっとビーチボーイズが好きなのだろう。③trickle downの方がよりビーチボーイズを感じられるかもしれない。

甘酸っぱいだけじゃない。むしろ不気味な歌詞もある。後半の曲はギターのゆがみ具合も増している。単調にみえて飽きさせない引き出しの多さを感じる全10曲。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年6月。

リトル・リチャード「ロックス」

出所はよく分からないCD。ベストアルバムみたいなものだとは思う。音質はそこそこ良かった。引退しているけど、リトル・リチャードは今現在も存命で85歳なんだとか。

①tutti fruttiは有名曲。今の時代に聴いてもいい曲だ。ロックンロールの創始者の1人とされているが、①を聴けばよく分かる。…なんて書いているけど、もっと若い頃ににリトル・リチャードを聴いたときはそんなにピンときていなかった記憶がある。リトル・リチャードだけじゃない。ロックやジャズの過去の名盤というものを聴いても、ふ~んで終わっていた。若いときはリアルタイムで聴いている音楽の方がよく聴こえていたのだ。

ただ、段々と年を取ってオッサンになってくると、古いものか新しいものかはそんなに差を感じなくなってくる。ジャンルすらどうでもよくなってくる。細かいことは気にしなくなったというか。だから、若いときにリトル・リチャードや1950年代、60年代の音楽を聴いてもなんとも思わなくても、別に気にする必要はないんだろう。いつかいいじゃんと思えるときがくる。

①以外なら⑪リトル・リチャーズブギー。ノリがいい。15曲全部が2分以内に終わる。かつてのポップソングはインスタントラーメンを待つよりも短い時間でメッセージを伝えていたんだな。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年8月。

 

ジェイムス・ブラント「バック・トゥ・ベッドラム」

280円コーナーの常連といっていいほど、どこでも何枚もある。それだけ売れたということだ。人気に火をつけたのが②ユア・ビューティフル。彼の名前を知らなくても、この曲はどこかで耳にしたことがあるはず。

すんなり聴いていけるポップスが続く。ボーカルの声はセクシーさがあって、雰囲気がある。ただ、曲の個性は弱く感じてしまう。これがジェイムス・ブラントだ!みたいなグッとくるものがない。確かに②はいい曲だ。声もメロディーもいい。いっそのこと弾き語りアルバムぐらいに、そぎ落としたアレンジの方が個性を打ち出せたかも。アレンジが曲を〝平均化〟してしまっている。

2005年発売の日本盤。ボーナストラックは2曲。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年6月。どこにでもある。

レッド・ホット・チリペッパーズ「STADIUM ARCADIUM」

2006年発売の二枚組み。一枚目①ダニ・カルフォルニアが有名。1枚目に関してはこの曲のイメージで終始進んでいく。そういう意味では①はすばらしい。この1曲がそれほどまでにアルバム全体を表現できているんだから。

1曲ごとに感想を書くまでもなく、聴き応えのあるアルバム。ニコニコしながら最後まで聴ける。1枚目が①のイメージでまとまっている一方、2枚目はどうかというと、少し感じが違う。よりメロウになっている。

「バイザウェイ」の頃にはかなりメロディアスなバンドになっていたけど、このアルバムもその延長線上にある。「1枚に凝縮していたら名盤だった」とは思わない。これだけのボリュームでこれだけのいい曲があるのなら、二枚組みでよかった。たった280円で買えたんだからいい買い物だ。

【購入データ】購入店舗=兵庫県西宮北口店。購入日=2018年8月。

 

ulrich schnauss「goodbye」

全く知らないアーティスト。名前からしてドイツらへんなのかな。ぼんやりしているジャケットからエレクトロニカ系と予想。出だしはそんな感じ。マイブラみたいなささやきボイスのボーカルが乗っかる。

調べるとウィキペディアに項目があるほどの人物。やはりドイツ出身で、若いころはマイブラをよく聴いていたようだ。で、このアルバムは3枚目にあたり、2007年発売。シューケイザーではなく、あくまでエレクトロニカに色分けされる音楽だ。

②shineがいい。徐々に盛り上がっていくドラマティックな展開が楽しい。というか、そういう展開の曲が多い。8曲目はかわいらしい。ドイツの深い深い森の中に迷い込んだみたいだ。ただうっそうとしているだけではなく、妖精を見つけて追いかけている感じ。

ポップとは言い難く、エレクトロニカを好きな人でないと通して聴けないかもしれない。マイブラっぽさはあるものの、やはりマイブラではない。

【購入データ】購入店舗=兵庫県西宮北口店。購入日=2018年8月。

イギー・ポップ「nude&rude」

1996年発売のベストアルバム。ストゥージーズからソロへと続いていく。ほとんどの人がストゥージーズ時代のイギーを想定して聴き始めるんじゃなかろうか。その期待に通りに最序盤は進む。③サーチ&デストロイは鉄板だ。

空気感が変わるのが⑥ファンタイムから。ニューウェーブっぽくなる。デヴィット・ボウイ臭もする。というか、クレジットにボウイの名前もある。共作なんだな。ここから4曲が2人の共作になっている。1970年代にイギーは薬物を乱用しまくって、どうにもならない状態だったという。そんな状況からイギーを救ったのがボウイだった。だからイギーはめちゃくちゃボウイに感謝している。

共作曲はイギーらしさよりもボウイらしさの方が大きい。最初に聞いたときはう~んと思ったが、何度もこのアルバムを通して聴いてみて、いい曲じゃないかと思えてきた。

60年代、70年代に活躍したミュージシャンはその当時がベストで、その後はクオリティが下がるばかりという偏見をどうしても持ちがち。イギーもそうかなと思っていたけど、アルバム後半はパワフルだ。ストゥージーズ時代の激しいロックンロールとは違う、洗練された荒々しさという矛盾した言い方をしてしまいそうなほどノリがいい。⑩パッセンジャーからがハイライト。

こうしてみると捨て曲がない。通しで心地よく聴ける。ただ、ボウイのおかげでイギーがあるとはいえ、ボウイ色の強い曲は浮いているとは思う。

【購入データ】購入店舗=兵庫県西宮北口店。購入日=2018年8月。

 

グレイ「レビュー」

ヴィジュアル系バンドグレイが絶頂の時に出したベストアルバム。すごい売れたから、中古でもいっぱい。正直、280円でも高いくらいに流通していたはず。ただ、中身はベストだししっかりしたもの。

歌詞は甘酸っぱい。音はboowyの発展系というのかな。ビジュアル系の多くがそうだけど、ルーツが分かりにくい。パンクやメタルがあるのだろうとは思うけど。もちろん歌謡曲も忘れちゃいけない。うまい具合にいろんなものをごった煮にして、ポップな曲に仕上げているのがすごいところだ。

20万人ライブをやったほどのグレイが最近はあんまりどうしているのか聞かないのは事務所問題だったはず。いきなり曲の質が落ちるとは思えないし、音楽業界では事務所とか力関係の影響が大きいのだろう。それが原因で失速したようにみえるのだ。そう考えるとヒットソングというのもよく分からない。露出やら事務所で決まるようなメディアに作られたヒットソングも多いのだろう。作られたヒットだとしても、人の口の端にのぼるのならその方がいいのかもしれない。それに満足しなくなると出ていきたくなるのかもしれない。

とはいえ、いい曲にはそんな本物かニセモノかなんて議論を超えて魅力があるもの。とりあえず、音楽業界の力関係の中でグレイがうまく浮遊していた時期に出たこのアルバムの曲たちはすばらしい。メディアの力がなければここまで売れなかったかもしれないけど、いい曲はいいと気付く人たちもいっぱいいたはずだ。

J-popの王道を聴かせてくれる。有名アルバムだし、曲ごとの感想は省く。ブックオフならどこにでもあるはず。懐かしさを求めるなら買ってもいい。

【購入データ】購入日=2018年7月。購入店=六本松店。