セックスピストルズ「FILTHY LUCRE LIVE」

セックスピストルズの再結成ライブを収めたもの。1996年発売。①ボディーズの出だしでジョン・ライドンの甲高い声にちょっと笑う。こりゃダメかと思いきや、意外にも最後まで聴ける。

当時のライブ音源はたくさん聴いた。それらと比べると演奏はうまいのだろうが、正直言って印象は変わらない。下手とかうまいとか関係ないのだ。若さというエンジンはもうなくなったとしても、曲たちから勢いを感じる。

ジョン・ライドンの声は少し変わった。年を取っただけにしわがれている。曲のアレンジは当時のまんま。再結成するなんてダサいに決まっていると誰もが思ったはずだが、かなり健闘している。そもそも本人たちが一番ダサいことを分かっているから、開き直っていたのだろう。新曲とかレゲエアレンジ(笑い)とか余計なことは一切せず、唯一残された自分たちのオリジナルアルバムとしっかり向き合い、そのまんま演奏している。望まれていることをしっかりと演じきったのだ。

再結成にはさぞ批判が集まったことと思うが、2018年になって振り返ってみればどうでもいいだろう。1977年とはパンクの価値が違うものになってしまった。77年は反権力だとか若さゆえの怒りだとかがあったけど、今のパンクはオッサンの音楽だし、歌うのも日常のこと。96年にはまだ幻想があったかもしれないが、今はない。再結成ライブをしてくれてよかったと思う。こうして音源が残っていることがうれしい。

買ったのは輸入盤。日本盤は「勝手に来やがれ!」というタイトルでとても秀逸。

【購入データ】購入店舗=福岡前原店。2018年10月。

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