ulrich schnauss「goodbye」

全く知らないアーティスト。名前からしてドイツらへんなのかな。ぼんやりしているジャケットからエレクトロニカ系と予想。出だしはそんな感じ。マイブラみたいなささやきボイスのボーカルが乗っかる。

調べるとウィキペディアに項目があるほどの人物。やはりドイツ出身で、若いころはマイブラをよく聴いていたようだ。で、このアルバムは3枚目にあたり、2007年発売。シューケイザーではなく、あくまでエレクトロニカに色分けされる音楽だ。

②shineがいい。徐々に盛り上がっていくドラマティックな展開が楽しい。というか、そういう展開の曲が多い。8曲目はかわいらしい。ドイツの深い深い森の中に迷い込んだみたいだ。ただうっそうとしているだけではなく、妖精を見つけて追いかけている感じ。

ポップとは言い難く、エレクトロニカを好きな人でないと通して聴けないかもしれない。マイブラっぽさはあるものの、やはりマイブラではない。

【購入データ】購入店舗=兵庫県西宮北口店。購入日=2018年8月。

イギー・ポップ「nude&rude」

1996年発売のベストアルバム。ストゥージーズからソロへと続いていく。ほとんどの人がストゥージーズ時代のイギーを想定して聴き始めるんじゃなかろうか。その期待に通りに最序盤は進む。③サーチ&デストロイは鉄板だ。

空気感が変わるのが⑥ファンタイムから。ニューウェーブっぽくなる。デヴィット・ボウイ臭もする。というか、クレジットにボウイの名前もある。共作なんだな。ここから4曲が2人の共作になっている。1970年代にイギーは薬物を乱用しまくって、どうにもならない状態だったという。そんな状況からイギーを救ったのがボウイだった。だからイギーはめちゃくちゃボウイに感謝している。

共作曲はイギーらしさよりもボウイらしさの方が大きい。最初に聞いたときはう~んと思ったが、何度もこのアルバムを通して聴いてみて、いい曲じゃないかと思えてきた。

60年代、70年代に活躍したミュージシャンはその当時がベストで、その後はクオリティが下がるばかりという偏見をどうしても持ちがち。イギーもそうかなと思っていたけど、アルバム後半はパワフルだ。ストゥージーズ時代の激しいロックンロールとは違う、洗練された荒々しさという矛盾した言い方をしてしまいそうなほどノリがいい。⑩パッセンジャーからがハイライト。

こうしてみると捨て曲がない。通しで心地よく聴ける。ただ、ボウイのおかげでイギーがあるとはいえ、ボウイ色の強い曲は浮いているとは思う。

【購入データ】購入店舗=兵庫県西宮北口店。購入日=2018年8月。

 

グレイ「レビュー」

ヴィジュアル系バンドグレイが絶頂の時に出したベストアルバム。すごい売れたから、中古でもいっぱい。正直、280円でも高いくらいに流通していたはず。ただ、中身はベストだししっかりしたもの。

歌詞は甘酸っぱい。音はboowyの発展系というのかな。ビジュアル系の多くがそうだけど、ルーツが分かりにくい。パンクやメタルがあるのだろうとは思うけど。もちろん歌謡曲も忘れちゃいけない。うまい具合にいろんなものをごった煮にして、ポップな曲に仕上げているのがすごいところだ。

20万人ライブをやったほどのグレイが最近はあんまりどうしているのか聞かないのは事務所問題だったはず。いきなり曲の質が落ちるとは思えないし、音楽業界では事務所とか力関係の影響が大きいのだろう。それが原因で失速したようにみえるのだ。そう考えるとヒットソングというのもよく分からない。露出やら事務所で決まるようなメディアに作られたヒットソングも多いのだろう。作られたヒットだとしても、人の口の端にのぼるのならその方がいいのかもしれない。それに満足しなくなると出ていきたくなるのかもしれない。

とはいえ、いい曲にはそんな本物かニセモノかなんて議論を超えて魅力があるもの。とりあえず、音楽業界の力関係の中でグレイがうまく浮遊していた時期に出たこのアルバムの曲たちはすばらしい。メディアの力がなければここまで売れなかったかもしれないけど、いい曲はいいと気付く人たちもいっぱいいたはずだ。

J-popの王道を聴かせてくれる。有名アルバムだし、曲ごとの感想は省く。ブックオフならどこにでもあるはず。懐かしさを求めるなら買ってもいい。

【購入データ】購入日=2018年7月。購入店=六本松店。

 

スパイラルライフ「グレイテスト・ヒッツ」

スパイラルライフは1993年デビューで96年に活動休止した2人組み音楽ユニット。AIRの車谷浩司がいたことで有名、というかそれで自分が知っている。

リアルタイムで「メイビー・トゥルー」を聴いていて、好きだった、しかし、このベストアルバムには入っていない…と思いきや13曲目にライブバージョンがあった。これを書くにあたって聴き直すまで気がつかなかった。

渋谷系のイメージがあったけど、より野心的な音作りだと思う。洋楽を下敷きにしながらも、ただのコピーには甘んじない。②アナザーデイ アナザーナイトはギターも歌もとても伸びやかだ。③ラズベリーベルのボーカルは透明感があって美しい。

この時代特有のことかもしれないけど、プライマリースクリームの「スクリーマデリカ」の影響が大きい。④アンサーに特にそれを感じる。もう二度とは戻ってこないのかもしれない享楽的で無責任な時代がかつてあって、それは確実に終わってしまったんだ。90年前後のあの時代がよかったとは言い切らないが、今の閉塞感あふれる時代を思うと、あこがれてしまう。子ども過ぎて当時は実感なんかなかったけど。

このアルバムは全曲すんなり聴き通せる。いい曲ばかり。ベストは⑫ガーデン。とても激しい曲でこれだけ異質に感じるかもしれない。

【購入データ】購入日=2018年5月。購入店=大橋駅西口店。あまり見ない。

RAVEN「限り無く赤に近い黒」

照井利幸、チバユウスケと聞くとロッソを思い浮かべるけど違うバンドだ。正確に言えば、レイブンはバンドではなく照井のソロプロジェクトになる。チバはゲストということになるのかな。

2004年発売。初回限定盤でボーナスCDが付いてきた。①concorde driveはいい1曲目。②森のアリゲーターではオトナな空気が漂う。ガキには出せない音だ。とはいえ老成しちゃってるわけでもない。ネバネバとした黒い液体に足をからめ取られるかのよう。③chevyはミディアムテンポでチバのボーカルを楽しめる。④cherry bon bonは無駄がないロックンロール。⑤⑥はチバじゃなく、YUKOという人がボーカル。曲も歌も悪くないが、この流れなら全部チバボーカルで統一した方がよかった。⑦でチバボーカルに戻ってくるのだが、何よりベースとギターがかっこいい。⑧長いイントロのあとにくるチバのボーカルがすばらしい。念のためにボーナスCDも聴く。ミッシェルのころにはなかったタイプの歌い方。音はやっぱりオトナにしか出せない。勢いに任せるのではなく、じっくり聴かせてくれる。

ロッソやザ・バースデイよりもよく思えた。こんないいアルバムが280円かあ。

【購入データ】購入店舗=飯倉店。購入日=2018年5月。

クリス・アイザック「フォーエバー・ブルー」

アメリカのシンガー。映画にも出演していて、「羊たちの沈黙」「ツインピークス」とか有名な映画に出ているそう。このアルバムの1曲目はキューブリックの「アイズ・ワイド・シャット」に使われている。つまり、かなり実力を認められた有名人なわけだ。ただ、自分は知らなかった…。ジャケットに惹かれて手に取ったのだ。

ギター弾き語りできそうな歌ものが多い。②somebody’s cryingがまずいい。全体的に実にアメリカ的な感じだ。自信に満ちていて、かといって個人の趣味に耽溺するのではなく、リスナーが欲しいと思っている音楽を提供しようというエンターテイメントをしっかし意識している。やっぱりアメリカは堂々としているんだな。決して明るい曲というわけではない。落ち着いた憂いのある曲が多いけど、アメリカ的自信がそこにあるのだ。だから、安心して聴ける。

頻繁にではないが、たまに聴き返したくなる1枚になりそう。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年6月。

L7「the beauty process:triple platinum」

1996年発売の5枚目。輸入盤。L7はアメリカのバンドでグランジの流れにある。珍しいのはガールズバンドという点。サブ・ポップと契約していた時期もあり、ニルヴァーナとも近かった。92年のレディング・フェスティバルには一緒に出ているみたい。

タバコの煙が見えるみたい。とにかく歪んだギターと重苦しいリズム隊、ボーカルは叫びたいように叫んでいる。それでいてポップさがある。カート・コバーンが好んだのもこの点だろう。⑤moonshineにはかわいらしさもある。いや、ほかの曲もちょいちょいかわいいかも。

ロッキンオン的な表現に「退屈を燃やし尽くす」ような音というのがある。こういうグランジやらガレージロックに使われていたイメージだ。L7もその系統に当たるとは思うけど、ただ退屈を燃やしているのではなく、もう少し知性を感じる。曲のできがいいから、余計にそう思う。ファンにはおとなしく聴こえるみたいだけど、重いミドルテンポが癖になりそうで好き。

2000年に無期限活動停止を発表。買って得した1枚だ。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年5月。あまり280円コーナーでは見ない。

 

ジャッキー・パリス「ザ・ジャッキー・パリス・サウンド」

280円コーナーの棚で見かけた瞬間にこれはハズレじゃないと確信して手に取った。ジャケットを見て、確信はさらに深くなるばかり。ロックの棚にあったけど、これはジャズだ。しかもシンガー。2010年発売で、いわゆるリイシューと思われる。調べるとオリジナルは1959年発売だった。

1940年代から50年代にかけて活躍。2004年に逝去。生涯が映画にもなっていて、「高い評価を受けながら商業的な成功を手にすることがなかった悲運のジャズ・シンガー」とその映画の宣伝ではうたわれている。タイトルは「ジャッキー・パリスの生涯」。そのまんまだ。

このアルバムを聴くと、独特の優しい声が身にしみるよう。演奏も手堅いが、歌の方により焦点が当たっている。10枚くらいのアルバムを出したそうだが、最高傑作といわれているのがこのアルバム。ジャズといえば歌なしの方をよく聴いていたが、このアルバムを聴いていると、歌もののジャズもありだなと思えてくる。商業的成功を手にしなかった理由はわからない。エンタメとしてみると派手さが足りなかったのだろうか。しかし、派手じゃないジャズはいいものだ。

長い間、CD化されなかった名盤だという。見つけたら是が非でも手に入れておきたい。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年5月。ほとんど見かけない。

ダイナソーJr.「youre living all over me」

ピクシーズとかマイブラみたいな歪んだギターの洪水。轟音の向こうに切ないメロディーが流れる。280円で買える間違いのない名盤だ。

発売は1987年。セカンドアルバムに当たる。SSTレコードのもので輸入盤。ボーカルとギターを担当するJ.マスシスがグループでは一番有名だろう。アメリカのバンドで、80年代後半ぐらいから出てきた、オルタナロックの流れにあるバンド。聴けば、ああ、そんな感じと膝を打つくらい典型的な音だ。

④the lungがすばらしい。爽快感あるイントロかと思えば、35秒から空気感が少し変わる。これだけギターをかき鳴らしているとマッチョな感じがしてもおかしくはないのに、マッチョとは反対の印象だ。マイブラとかシューケイザーにもいえることだが、なぜかこの手のロックにはインドアっぽい。ジーンズに色あせたTシャツを着て、不健康そなほどに青白い顔で静かに轟音を出す。ダイナソーJr.の写真や映像を見たことはないが、先述した光景が思い浮かんでくる。

⑦in a jarはさわやかさがありつつ、ところどころ不穏だ。美しいのだけど、ふとした瞬間に壊れてしまいそうなもろさを感じる。後半、壊しにかかるかと思いきや、ギリギリのところで踏みとどまるから面白い。

轟音ロックが聴ける人ならば、きっと気に入るはず。

【購入データ】購入店舗=春日店だったかな。購入日=2018年5月。

ロッド・スチュワート「アンプラグド」

ライブ盤のなかでもアンプラグドは人気がある。演奏がシンプルになることで、曲のよさをじっくり堪能できるからだろう。例えるなら、とんかつを食べるときにソースではなく塩をつけて食べて、素材の味を楽しむような感じ。

正直、ロッド・スチュワートについてはよく知らない。ジェフ・ベックが好きなので、一緒にやっているものに関しては聴いてきた。このアルバムを買ったのも、⑧people get readyがあるからだった。

発売は1993年。日本盤。ロニー・ウッドがゲストで来ていることがトピックだろう。時にしっとりと歌い上げ、時にシャウトする。ボーカリストとして評価が高いのもうなずけるパフォーマンスだ。

一方で、アンプラグドじゃないパフォーマンスで聴きたくもなってくる。とんかつを塩で食べるのがアリとはいっても、あくまでソースで食べるという本筋があるのが前提だ。ソースで食べるという一番おいしい食べ方があるから、塩で食べるという行為が生きてくる。アンプラグドというスタイルも好きではあるが、それだけでは飽きてくる。オアシスがライブのとき、アコースティックコーナーを挟んでいたが、あれは結構いいアイデアかもしれない。とんかつ10切れあったら、塩は2、3切れでいいのだ。

というわけでロッド・スチュワート好きならこのアンプラグドはもちろんいい。だけど、いきなりこれを買うのはよくない。慣れてきてからでいい。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年5月。