パインフォレスト・クランチ「メイク・ビリーブ」

スウェーデンのバンドで1996年発売のデビューアルバム。日本盤、帯付き。ジャケットの女性、多分ボーカル?が綺麗なので買ってみた。

①カップヌードルソングを聴くとよくあるポップソングバンドかと思うが、②アンリーシュトがザ・スミスのハウスーンイズナウの不穏なギターを彷彿とさせ意外な感じ。③ジェネラル・カーター・アコーディングリーはケルトミュージックみたいな雰囲気がある。要するに一筋縄にはいかないバンドなわけだ。

録音はいいと思う。それぞれの音がクリアに聴こえてくる。帯には「一度試したらやめられない! スイートな秘蜜のフレーヴァー」とある。この大袈裟な感じはかなりの推されだったのだろう。推したくなる気持ちは分からないでもない。それくらいのクリアさだ。

一方でサイケデリックな展開・アレンジもあって、ストレートな分かりやすいポップさを期待した人を驚かせる要素もある。この辺が好き嫌いが分かれるところ。

【購入データ】購入店舗=天神。購入日=2018年12月。

ヒロシマ「ロスアンゼルス」

1994年発売8枚目で輸入盤。よく分からず買ったけど、日系アメリカ人3世たちによって結成さればフュージョンバンド。琴とか日本の楽器を使っているところが特徴。これらの情報からどんな音が推測してから聴いてみれば、きっと想像は当たるだろう。マイルス・デイビスの前座を務めたというが、欧米の人が興味を持ちそうな音だ。

②ワン・ファイン・デイはボーカル曲でとっても素敵。これもシティポップになるのだろうか。そんな印象だ。日本の伝統的な楽器を使っていることが注目されがちだし、本人たちも意識してやっていることだとは思うが、あまり特別視しなくてもいいと思う。というのも聴いていてあまり気にならないからだ、つまり浮いてない。曲の中に自然に溶け込んでいる。もっとも露骨に感じる曲がないわけじゃないが…。

⑥ワンス・ビフォアー・アイ・スリープみたいなしっとりしたのもいい。フュージョンだけどアップテンポな曲ではなく、落ち着いた曲が多いのがこのアルバムの特徴だ。アルバムタイトルのロスアンゼルスがこんな街なんだろうか。⑨リヴ・トゥゲザーもいい。

【購入データ】購入店舗=吉祥寺。購入日=2019年6月。

ジョン・フルシアンテ「the will to death」

2004年発売。輸入盤。2004年にはいくつものアルバムが短期間に出ていて、これはその最初のもの。

多くの楽器を自分で演奏し、手伝いも一人だけ。だからなのかインディーロック的な作品となっている。ローファイな手触りというか。レッチリのようなスタジアムロックとは対照的だ。

②an exerciseが美しい。ギターもドラムもベースもボーカルも壊れそうで壊れない。

内省的なムードを感じるが、湿っぽくなくどこか乾いている。③タイム・ランズ・アウトもギターが乾いているからドロドロ感はない。⑤アンチェンジングは出だしのギターから好き。なんかの曲に似ているのに思い出せない。

いいと思った曲を挙げていくとキリがなくなりそうだ。このアルバムはとてもすばらしい。ギターロックが好きなら持っておいても損はない。300円しないわけだし。

【購入データ】購入店舗=天神。購入日=2018年10月。

V.A.「レトロ・フューチャー・ラウンジ・ミュージック/ファニー・ドリームス」

1996年の日本発売のコンピレーション。ラウンジミュージックを集めたもの。ラウンジミュージックとはその名前のまんまで、ホテルのラウンジでかけられるような音楽だ。全25曲。

このアルバムの曲たちはラウンジでかかっているにしてはちょっとノリがよすぎる。音はボサノバとかワールドミュージックな空気感。いつの音楽か分からないが、古いのかな。ナントカ楽団の演奏が多い。タイトル通り古いけど新しく聴こえる。

部屋で流していてリラックスできる。⑦サン・ヴァレー・スキー・ランのクリスマスっぽさが楽しい。これはエスキベル楽団の演奏。ディック・ショリ―・パーカッション・ポップス・オーケストラの⑲シンワなんてドラムが激しくてラウンジでは浮きそう。⑳ディジーは歌ものでサイケな感じ。ウーゴ・モンテネグロ楽団で60年代ポップスのよう。

2、3分の曲がほとんどで昔のポップソング集みたい。ほぼインストだけど。嫌いだって人はいないだろう。

【購入データ】購入店舗=浜田山。購入日=2019年7月。

レヴェラーズ「レヴェラーズ」

イギリスのバンドで1993年発売の三枚目。日本盤。帯付き。ステッカーもあるし、ポニーキャニオンに送るはがきもあった。切ってが41円というのも時代だ。

このよく知らないバンドはギターロックにヴァイオリンという組み合わせが特徴みたいだ。①を聴くとヴァイオリンが心地よく鳴っている。②もシリアスなかっこよさがあっていい。

ライナーノーツが面白かった。イギリスのトラヴェラーズとかクラスティとかいうサブカルチャーがあって、特にトラヴェラーズはキャンピングカーで旅をして生きている人たちなんだとか。そんなトラヴェラーズたちに支持されたのがこのバンド。それでフェスティバルになるとこのバンド目当てのトラヴェラーズたちが集まって盛り上がったそうだ。

そんなカルチャーあるのは知らなかった。肝心の音はトラッドミュージックがベースにある。スコットランド民謡というのかな。バグパイプが印象的だ。開放感と疾走感があるから、確かにフェスティバルでは盛り上がるだろう。自然を感じられる音楽だ。特に⑤がノリノリ。

全14曲で最後4曲がボーナストラック。当時、日本のレコード会社はものすごくプッシュしていたのかな。薦めたくなるような魅力のあるバンドなのは間違いない。

初夏に聴きたいアルバムだ。

【購入データ】購入店舗=吉祥寺。購入日=2019年12月。

ウェザーリポート「ミスター・ゴーン」

1992年発売。日本盤。オリジナルは1978年発売。

ウェザーリポートのアルバムはほかにも持っているが、実はそのよさをよくわかっていない。このアルバムは絶頂期に出たアルバムらしい。ライナーノーツによると、来日公演のすばらしさを味わった直後に発売されて、期待していたものとは違っていてがっかりしたとある。

③はウェザーリポートらしい曲に聴こえる。フュージョンのイメージに一番近いのだ。④はマニアックすぎないか。ファンがこのアルバムに首を傾げたとしてもそりゃあそうだろうなと。⑤は派手さはないが、不穏なムードがかっこいい。

⑥がこのアルバムの人気曲だそうだ。ジャコ・パストリアスの曲。ジャコのソロアルバムは持っているが、よすぎて聴けない一枚だ。あまりにもよすぎて胸やけするというか、耳やけするというか。すごい精神力を要するのだ。この曲についてはそこまで疲れたりはしない。⑦の方が疲れるかも。ドラムがすばらしい。

アルバムを聴いて浮かんだイメージは夜の街を歩いているコートの探偵。怪しげなムードがありサスペンスチックなスリルがある。大人なムードが漂っている。蒸し暑い夏の夜にかけたい一枚だ。

【購入データ】購入店舗=浜田山。購入日=2019年10月。

V.A「the bridge a tribute to neil young」

ニール・ヤングのトリビュートアルバム。1989年発売。日本盤。参加バンドはフレイミングリップスにニック・ケイヴ、ソニックユース、ピクシーズ、ダイナソーJRなど。なかなかよさげである。

有名な③アフター・ザ・ゴールドラッシュはリップスが。正直オリジナル版の方がはるかにいい。⑤シナモンガールはループというイギリスのバンド。ライナーノーツで大鷹俊一氏に「オリジナリティは感じない」と書かれてしまっている。あえて良いように言うと安心して聴けるとも言える。

⑧ウィンターロングはピクシーズ。なんかとってもさわやか。ベストトラックかも。⑨コンピューターエイジはソニックユース。ギターのノイジーさをコントロールしながら曲の形を保ちつつ進行。終盤に曲は分解され、しっかりと自分たちの色に仕上げている印象。⑪あふれる愛はダイナソーJR。ノイジーで叫ぶような歌い方。それでいて美しくもあるのは原曲のおかげだろうか。

有名曲をちゃんと押さえていて選曲はいいと思うし、参加バンドもいい。聴けるものになっているのはオリジナルがすばらしいからという点が大きいのだろう。

【購入データ】購入店舗=吉祥寺。購入日=2019年12月。

ハスキング・ビー「プット・オン・フレッシュ・ペイント」

日本のメロコアバンドの1998年発売の2枚目。古いCDで劣化しているのかな、音が貧弱に聴こえる。ヘッドホンしてみたけど、かなり音を大きくしないとしっくりこない。

CDに入ってたツアーの告知を見ると10月9日から11月4日の間に17公演だって。北は札幌、南は佐賀。全部ライブハウスだろうけど、今も続いているところは営業大丈夫なんだろうか。クラブクアトロとかはよく聞くし、松山サロンキティとか熊本ジャンゴとか岡山ペパーランドとか佐賀ガイルズとか秋田ジョイナスとか札幌ベッシーホールとか。とりあえずいくつか名前並べてみたけど、こういったライブハウスが音楽を支えていたんだと改めて実感。

CDの内容はメロコアでもエモってる感じ。ハイスタやブラフマンのように強烈に熱くなるというよりも哀愁を帯びたメロディーが個性なんだろう。後への影響力という点では英語詩でも変わらないだろうが、日本語詞だったらもっと浸透していたかもしれない。

【購入データ】購入店舗=吉祥寺。購入日=2019年10月。よく見かけるはず。

ソニックユース「メイド・イン・アメリカ」

80年代の映画のサウンドトラックらしい。全23曲。輸入盤。このCD自体は1995年発売なのかな。パッケージには1995年との表記もあるから。

ボーカル曲もあるけど基本的にはインスト曲が多い。実にソニックユース的。つまりイメージ通りで買って後悔がない。かといって実験的すぎないので聴きやすい。1曲ずつが短いのでもっとじっくり聴きたいなと思わせる。そういう意味ではオリジナルアルバムへの誘いとしてもよくできていると言えるだろう。

映画の内容はまったく分からない。ジャケットの感じだとロードムービー。映画用なので同じテーマを繰り返し使っている。若干中だるみを覚えるところもある。⑥⑨がよかったかな。

【購入データ】購入店舗=吉祥寺。購入日=2019年10月。

バリ島のガムラン/スリランカの太鼓

ワールドミュージックのカテゴリーにあったCDで1992年発売。日本盤。祭りで収集された音源だという。ライナーノーツには1971の文字もあるから、71年の録音なんだろうか。ちょっと分からない。

まずはバリ島のガムランから。ガムランというのはインドネシアの打楽器中心の合奏音楽のことをいうらしい。そういう知識はなしにとりあえず買ってみたら大当たりだった。1曲目は「ラマヤナの伴奏音楽より」というのだが、とんでもなくすばらしい曲だ。急に速くなるところなんて興奮を呼び起こさせられる。テクノっぽいと思ったけどミニマルミュージックな感じがそう感じさせるのか。観衆のざわめきが入っていて臨場感がある。

ガムラン音楽は精霊にささげるもので、悪霊を酔わせるものだという。ミニマルなのは酔わせようという意志だったのか。

④のケチャはびっくり。男性合唱なのだが、躍動感がすごい。チャッチャッと真似したくなる。

ガムランは今の楽器でいうと音は鉄琴に近いのかも。

⑦はライブ感たっぷり。高速で鳴り響く打楽器の後ろでゴーンゴーンと静かに何かが鳴っている。このコントラストが印象的。ゴーンの音があるから安定感があるんだ。

⑧からはスリランカの太鼓。バリ島のガムランでも感じだけど、日本でいう神楽を思わせる。神にささげるという点では共通しているからだろうか。ちなみに解説によるとバリ島のベースはヒンズー教でスリランカは仏教徒が多いのだとか。神楽はもちろん神道だ。

スリランカの方は素朴さがある。リズムは複雑だ。生で聴いたらもっと印象が違うのだろう。気のせいだろうか遠くの方でほかの音楽がなっているみたい。圧巻は⑫。象に乗って行進する人たちと一緒に音楽家たちが演奏しているという。収録は約10分。いろんなリズムになり歌声も入って、それでいて牧歌的なムードが漂う。お祭りなのかな。

なんの知識もなく買ったけど、こういういい出会いがあるから290円CDはいいのだ。

【購入データ】購入店舗=吉祥寺。購入日=2019年10月。