2007年デビューのイギリスのバンドのセカンドアルバム。発売は2009年。日本盤でボーナストラックが4曲もある。CDエクストラでビデオクリップも1曲ある。
①エレファントソングの導入は壮大。厳かでこのアルバムのムードを決定付けている。②ノータイム・フォー・ティアーズはシングル曲。このバンドはオーソドックスなギターロックではなくて、カサビアンみたく踊れるロックを志向しているようだ。アレンジは狭い会場よりも広い会場でシンガロングされることを期待しているかのよう。
③から数曲はちょっとだけ壮大さが抑え目になる。美しいメロディーでしっとり歌い上げる。⑤ラストグッバイは一瞬だけブラーのユニバーサルがちらついた。⑥ネイション・オブ・チェックアウト・ガールズにはパルプのコモンピープルっぽいところも。⑧ドント・ブレイク・ザ・レッドテープはザ・クラッシュのロンドンコーリングだ。このバンドのCDを聴くのはこれが初めてだが、UKロックの系譜でもオアシスのような労働者階級から出たバンドではなく、中流階級的な雰囲気がある。
歌詞を読んでみると、日々を生きる中での怒りや失望がつづられている。政治や官僚といった権力批判が多く、その姿勢は労働者階級のそれだ。ただ、労働者階級で成功したバンド・オアシスはあからさまな権力批判はそんなになかった。ジ・エネミーの歌詞は労働者階級というのは知的に過ぎる気がする。そういう点ではザ・クラッシュを目指していたのかもしれない。
2016年に解散したという。まとまったいいアルバムだと思うが、この手のロックバンドはヒップホップ勢に飲み込まれやすいのかもしれない。
【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年6月。