ジ・アンチドーツ「L.A.lights」

なんとなく買ってみた。タイトルにLAとあるから、ジャケットの夜景はロサンゼルスなのかな。都会的な印象に引かれた。発売は2008年、日本盤だけど、歌詞もライナーノーツもなかった。

パッケージを開けるとバンドメンバーが写っていた。4人いてアジア系、黒人、ヒスパニックと人種混成のよう。この写真を見てヒップホップかなと直感。聴いてみたらそうだった。いろんな人種がいっぱい住んでいるアメリカだけど、アジア系もヒスパニックもきっと黒人だって少数派という感覚を抱いているんじゃないかな。そういう思いを音楽に乗せるなら、今の時代ならロックよりもヒップホップなんじゃなかろうかと思ったわけだ。

ヒップホップは苦手なのだが、このアルバムはとっても聴きやすい。といってもサビになるとポップスになっちゃうようなヒップホップではなく、終始ちゃんとヒップホップしてる印象。特にトラックがオシャレで都会的。⑤あたりはゴリラズみたいなカラフルさがある。ただずっと聴いていると単調にもなってくる。曲のバリエーションは少ない。

夜の都会で聞きたい1枚。

【購入データ】購入店舗=福岡福重店。購入日=2018年5月。

ザ・クークス「コンク」

これもザ・ストロークスに続くガレージロック・リバイバルの流れの中で出てきたバンドだと思う。2008年発売のセカンドアルバム。全英チャートで1位を獲得している。輸入盤。シンプルなロックンロールで美メロ。

一聴した感じではレイザーライトというバンドを思い起こす。プロフィールがすごくて、イギリス政府が設立したミュージシャン養成学校の出身。ロンドン五輪の開会式だったかで、ロックの歴史を振り返るような演出があったけど、イギリスにとってロックは自分たちの文化なんだな。だからこそ、国営音楽学校ができて、そこ出身のバンドがヒットチャートをにぎわす事態になる。すばらしいじゃないか。

280円コーナーの利点は新人バンドでよく分からなくて新品では買い逃してしまったものを、時間がたってからとはいえ買い漁ることができる点だ。たいてい聴けるものなのでさらに助かる。現在、バンドがどんな状況にあるかは分からない。アルバムはその後、2枚出しているみたいだ。

ガレージロック・リバイバルの流行が好きな人にとっては満足のいくアルバムじゃないかな。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年3月。280円コーナーでこのCDはよく見る。ファーストアルバムはまだ発見していない。

ニューオーダー「リパブリック」

1曲目のリグレットが鉄板曲。それどころかこの曲のためのアルバムとすら言う人もいるのだとか。それくらいにポップでキャッチャーな曲だ。

発売は1993年。買ったのはアメリカ盤。①以外の曲が悪いわけではない。②ワールドだっていいよ。④スプーキーもね。どの曲も聴きやすいので、実際に聴いたのならば①だけが聴きどころだなんて思わないんじゃないか。

後半パワーダウンしてるかなとは正直思う。が、280円で買って、しまったということはないはず。

【購入データ】購入店舗=飯倉店。購入日=2018年5月。ニューオーダーのCDはたまに280円コーナーにある。

ザ・ジェ-ムス・ハンター・シックス「minute by minute」

ジャケ買い。紙ジャケでオッサンたちが階段の踊り場でたむろしているモノクロの写真が使われている。デザインと合わせて、ベテランのこなれた音楽なんじゃなかろうと想像。佐野元春とかそんな感じかなあと。

発売は2013年。なのに音は1960年前後からやってきたみたい。ネットで調べてみると、バンドの中心人物であるジェームス・ハンターはヴァン・モリソンが「最高の声の持ち主」とほめたほどの実力者だそうだ。ソウルとかリズム&ブルースを得意とする歌い手なんだって。確かにしゃがれた声はすてき。④ハートブレイクはとてもいい曲だ。

このアルバムを聴いていると米パンクバンドのグリーンデイが覆面バンドとして出したCDを思い起こす。60年代風のロックンロールをやっていて、ああ、この曲の元ネタはあれか~なんて気付く人には分かる内容だった。それはそれでよかったけれど、だったらオリジナルを聴いた方がいいんじゃないかという疑問もあった。モノマネを聴く必要もないわけだ。

このアルバムが60年前後のソウルミュージックと比べてどうかっていうのは分からない。その辺の音楽の知識が足らないからなんとも言えない。ただアルバム時代はとても聴きやすく、飛ばしたくなる曲もない。ジャケットからイメージできる音でおおむね満足。強いお酒を飲みながら聴きたい1枚。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年5月。輸入盤。メイドインEU。全12曲。

ミッシェル・ポルナレフ「ポルナレフ・ベスト」

有名な「シェリーに口づけ」を含む全23曲のベストアルバム。曲は知っていても誰の曲なのか知らなかった。280円コーナーで見つけたときは、ジャケットが60年代、70年代風だなと直感。スマホで調べてから購入することに。

たくさん曲が入っていてお得感たっぷり。①シェリーに口づけがいきなりのクライマックスだけど、最後まで十分に楽しめるほど曲が多彩。すべての曲に邦題がついているように、70年代の日本ではすごく有名人だったそう。日本の音楽シーンもこのフレンチポップにたくさんの影響を受けたでろう。日本の歌謡曲が参考にしたんじゃないかと思える曲③愛の休日もある。こんなアレンジの歌謡曲、ありそう。

50年近くまえの日本でどうしてフレンチポップがはやったのだろう。このアルバムを聴きながら思うのは、曲のかわいさ。日本にはかわいいものを愛でる文化があるけど、ミッシェル・ポルナレフの曲たちはまさにかわいがられる対象にぴったり。英語じゃなくてフランス語というのもかわいい印象を強くさせている。79分の収録時間を心軽やかに過ごせる音楽がいっぱいだ。午前11時ごろに聴きたい1枚。

【購入データ】購入店舗=福岡福重店。購入日=2018年5月。日本盤。帯なし。

 

ザ・レイ・エリントン・カルテット「THAT‘S NICE!」

280円コーナーのほとんどはポップスとロックで占められていて、ジャズとクラシックやその他ワールドミュージックは数が少ない。そんな中からジャケットが気になったものをポイポイと買ってみた。

レイ・エリントン。ジャケットは赤と黒の配色で、下着の女性が写っている。左端にはレイ・エリントンと思われる人物の顔写真が縦に3つ並ぶ。女性の写真と並ぶといやらしそうに見える。パッと見で時代が古そうな感じがしたので、そういう音を期待して聴いたらバッチリ。

このレイ・エリントンという人はドラマー兼ボーカルで、このアルバムは1959年に録音されたものだそう。「ジャズ」のイメージ通りの演奏を聞かせてくれる。ピアノはパンクみたいな激しさがあり、ギターはゴキゲンな感じで音を出しまくっている。聴いていて楽しくなってくる音楽だ。

のちの時代になるとジャズは大衆性を失ってしまうけれど、このアルバムにはジャズがポップスだったことがしっかりと刻まれている。たった280円の割には何度でも聴けるほど。休日の午後に聴いていたい1枚って感じ。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年5月。輸入盤。状態はきれい。

ザ・ハイロウズ「タイガーモービル」

初回限定盤という言葉に惹かれてしまうのはどうしようもないサガなんだろうか。このCDの初回限定盤はなんと虎皮使用。獣の毛の触り具合がたまらない。これが280円になっちゃう時代なんですね。

①②はパンキッシュでテンポの速いロックンロール。ガンガンにノれるし、トバしてる。ただ、ハイロウズのコンセプトは③以降にあると思う。特に④アレアレはブルースな空気感もあって、横ノリできる。その後もチャック・ベリーやジェリー・リー・ルイスみたいな1960年前後のロックンロールや、ザ・フーみたいな曲が続く。

ハイロウズはブルーハーツとはやっぱり違う。自分たちが大好きなロックンロールを楽しくワイワイやろうぜというのがバンドのコンセプトなんだと思う。歌詞の意味は深読みしてもいいし、聞き飛ばしてもいいだろう。あまり考えすぎてもしようがない。バンド側も肩の力を抜いているんじゃないか。聴いている側も肩の力を抜きたい。

なにはともあれ初回限定盤だ。これが280円で買えるのはうれしい。ちょっと前ならなかったけど、今なら普通なのかな。ロックンロールで元気になりたいときに聴きたい1枚だ。

【購入データ】購入店舗=飯倉店。購入日=2018年5月、ハイロウズのCDはたまに280円コーナーで見かける。

ロバート・ジョンソン「キング・オブ・ザ・デルタ・ブルース・シンガーズ VOL.2」

有名なブルースシンガーのロバート・ジョンソンの作品。ロバート・ジョンソンは十字路で悪魔に魂を売って、ギターテクニックを手に入れたなんていう伝説が残っている人物。1930年代に録音されて、このCDのオリジナルは1970年発売。買ったのは期間限定生産1000円のもので、日本盤帯つき。

どの曲もすばらしい。お気に入りは⑥ゼイアー・レッド・ホット。ノリのいい小品だ。この世に残した録音作品が少ないので、その後にでた「コンプリートレコーディング」を買うのもいいかもしれない。ブックオフなら安い値段であった気がする。持っているのにまた買おうとしてしまったくらいに安かった。それくらいロバート・ジョンソンは持ってて損はない。

コンプリートレコーディングスを買ったのは大学生のときで20歳前後だったとは思うが、あんまりピンとこなかった。当時は音楽的視野が狭くて、テンポの速いロックンロール以外は聴けなかったのだ。だけど数年経つと、不思議と聴けるようになっていた。30代半ばともなると、むしろリピートしてしまうくらい。

口惜しいのはVOL.1を見つけていないこと。音楽界の重要人物とはいえ、今の時代ではCDは安くなっている。流通量も多いようで、ブックオフでロバート・ジョンソンのCDを見かける頻度は高い。いい時代なんだなと思う。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年4月。

ザ・ロジャー「グロウン・アップス」

日本盤の帯には「生粋の音楽オタクが生み出した、完全無欠のポップネス」とある。元ファンジン編集長が率いるバンドだそう。

発売は2006。イギリスのバンドだ。冒頭から確かに全開ポップ。ザ・ストロークスからのガレージロック・リバイバルの流れにあると思う。シンプルなロックンロールで美メロ。2分台の曲が多くて、あっという間に聴きおえてしまう。

現在、このザ・ロジャーというバンドがどうなっているかは分からない。セカンドアルバムを同じく280円コーナーで手に入れているので、1枚だけで終わったってことはないはずだ。このアルバムを聴いていると、あまりにもポップなのでそこそこ評価されたのではないかと思うが、売れたという評判も聞かない。

音楽オタクとかファンジン編集長とかいうフレーズが受けなかったのかもしれない。オタクがプロの世界にやってくると、プロの目は厳しくなってしまう面は否めない。オタクとして評論家然としていたヤツがさて何を聴かせてくれるのかとハードルが上がるのだ。漫画「ラーメン発見伝」では主人公がラーメンマニアとプロから何度も言われ、プロとアマチュアには明確に違いがあることが描かれている。うまいラーメンを作れるだけではプロではないというのだ。じゃあうまいロックンロールをできるだけでは…。

こんなことを考えてしまうのは、このアルバムのデキがいい割には、それに見合う評価を得ていないように思えるからだ。なんかアイスクリームを食べながら聴きたい1枚だ。

【購入データ】購入店舗=福岡福重店。購入日=2018年5月。日本盤。ほかの店舗でも280円コーナーで見たことがあるので、常連かもしれない。

the Hondells「Go Little Honda and The Hondells」

ザ・ホンデルズと読むのかな。ジャケットの見た目から1960年代前半のロックバンドと予想。実際にその通りで、これは1stと2ndを1枚のCDにカップリングしたもの。オリジナルは1964年発売。

ビートルズよりもビーチボーイズ寄り。なんたって1曲目のリトルホンダがビーチボーイズのカバーなんだからそりゃそうか。ほかにはテケテケテケしてるベンチャーズっぽい曲、サーフロックって感じの曲がチラホラ。全24曲アルバム2枚分の60年代前半ロックンロールをしっかり堪能できる。もう完全にジャケットから想像できる通りの内容で満足だ。

ちなみにこのバンドはウィキペディアの日本版には項目が存在しない。もちろん英語版にはある。活動期間は1970年までとあり、当時はアルバム2枚しか出していないみたいだ。よく読めば、セッションミュージシャンが集まってスタートしたバンドとある。だから演奏は同年代バンドのなかではできた方なのだろけど、オリジナリティに欠けるせいか知名度はあんまない。

CDについてる英語のライナーノーツには「ホンデルズは1965年に分裂した。そもそもリアルなバンドじゃなかった」「スタジオプロダクトでしかなかった」とある。ようするにちょっとしたお遊びバンドだったわけなんだな、きっと。個性は強くないけど、ノリノリなロックンロールとしては優秀。外に出かけるときに聞きたい1枚。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年5月。輸入盤。あまりブックオフで見ない。