渋さ知らズ「渋旗」

大当たりの280円CD。渋さ知らズについての知識は大人数のバンドでジャズっぽいことをしているくらいなもの。ようはほとんど知らなかった。これはライブ盤で7曲入り。音はビッグバンドでやるジャズ。ただジャズという枠にとらわれない、自由さがある。スローなテンポで聴かせるというより、早めのテンポで揺さぶりをかけてくる感じ。

①火男からグッと気持ちが持っていかれる。とにかく体を動かしたくなる。踊りたいじゃない。体を動かしたい。飛び跳ねて手をバタバタとばたつかせたい。最後は疲れて地面にゴロンとしたい。

大音量で聴けばスッキリした気分になりそう。ストレスなんて吹っ飛んでいく。ヘッドホンで聴いてベースだけ追いかけていくのも楽しい。いろんな音が鳴っているのでいろんな聴き方ができる。

見つけたら買っておきたいCDだ。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年9月。

 

セックスピストルズ「FILTHY LUCRE LIVE」

セックスピストルズの再結成ライブを収めたもの。1996年発売。①ボディーズの出だしでジョン・ライドンの甲高い声にちょっと笑う。こりゃダメかと思いきや、意外にも最後まで聴ける。

当時のライブ音源はたくさん聴いた。それらと比べると演奏はうまいのだろうが、正直言って印象は変わらない。下手とかうまいとか関係ないのだ。若さというエンジンはもうなくなったとしても、曲たちから勢いを感じる。

ジョン・ライドンの声は少し変わった。年を取っただけにしわがれている。曲のアレンジは当時のまんま。再結成するなんてダサいに決まっていると誰もが思ったはずだが、かなり健闘している。そもそも本人たちが一番ダサいことを分かっているから、開き直っていたのだろう。新曲とかレゲエアレンジ(笑い)とか余計なことは一切せず、唯一残された自分たちのオリジナルアルバムとしっかり向き合い、そのまんま演奏している。望まれていることをしっかりと演じきったのだ。

再結成にはさぞ批判が集まったことと思うが、2018年になって振り返ってみればどうでもいいだろう。1977年とはパンクの価値が違うものになってしまった。77年は反権力だとか若さゆえの怒りだとかがあったけど、今のパンクはオッサンの音楽だし、歌うのも日常のこと。96年にはまだ幻想があったかもしれないが、今はない。再結成ライブをしてくれてよかったと思う。こうして音源が残っていることがうれしい。

買ったのは輸入盤。日本盤は「勝手に来やがれ!」というタイトルでとても秀逸。

【購入データ】購入店舗=福岡前原店。2018年10月。

エラスティカ「エラスティカ」

1995年発売のエラスティカ1stアルバム。ジャスティーン・フリッシュマンが有名。有名な理由はミュージシャンとしてよりも、ブラーのデーモン・アルバーンの恋人だったから。このアルバムにもデーモンが作ったんじゃないか疑惑の曲があるようだ。確かにアルバム前半はブラー臭がしなくもない。④カーソングは耳に覚えありといった感じだ。

ジャスティーンは現在、アーティストになっているという。絵描きだったかな。後年、NMEの取材に対して、「世界中を回って、95年や96年にこの星の現実を垣間見る事ができたし、たくさんのあこがれの人にも会えた。もっとも価値のあるレッスンのひとつは、成功が必ずしも裕福にしてくれるわけではないし、人生を豊かなものにしてくれるわけでもないと分かったことよね。私たちはセレブリティを重要視するカルチャーのなかで暮らしていて、有名であることがすごいことなんだと感じながら大人になったわけよね」と答えている。

セレブリティになるべしと夢見ながら、実際にセレブリティになったジャスティーンだったけど、それは幸せには繋がらなかったことを身をもって感じたというのだ。この返答はとっても好き。

もうひとつ記憶に残っているジャスティーンのエピソードがある。デーモンと別れたあと、デーモンは別れを歌った曲をブラーで発表。「ノーディスタンス・レフト・トゥ・ラン」という曲でイギリスではラジオやメディアでよく流れたそうだ。で、日本のライターが「別れた女性からしたらたまったものではない」みたいに書いていたのが印象に残っている。確かに未練がましくて不気味というか気持ち悪いというかムズムズしそう。

エラスティカについては、音楽よりもジャスティーンの話の方が楽しい。アルバムの内容が悪いってわけじゃない。全16曲、通して聴いても苦痛はない。苦痛なく聴けるというのは実はレアだ。⑨ブルーは疾走感のあるポップなナンバー。⑫2:1のほかの曲とは雰囲気の違う面白みのある曲。この曲以降からはちょっとニューウェイブっぽさを感じ、エラスティかとしてはブリットポップよりもそっち方面をやりたかったのではないかとうかがわせる。

日本盤なのでライナー付き。ロッキンオンの増井修氏の手によるもので、ガールズバンド、つまり女性であることを重視しているのは時代がそうだったからなんだろうか。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年9月。

ザ・マッドカプセルマーケッツ「OSCーDIS」

1999年発売。だけどCDには2001年とある。アメリカとヨーロッパでは2001年に発売されているので、これは輸入盤なのかもしれない。マッドのアルバムではこれが一番有名なんじゃないか。

デジタルロックとでもいうのかな。今でこそほかにもよくある音になっているが、当時はとても新鮮に聴こえた。とても硬質な印象。ザクザクっとしてゴリゴリとして体を動かすことを強要してくるような強さがある。

③pulseが有名曲。ほかの曲も勢いがあって、いつの間にか1枚通して聴き終わってしまう。⑤mob trackは笑ってしまうほどの激しさ。デジタルポップな⑥all the time in sunny beachからゴキゲンな⑦islandの流れが好き。

甘酸っぱいメロディーの⑪good girlからのラスト⑫midi surfも秀逸。ドラゴンアッシュのKjがマッド好きというのもうなずける。というかそのまんまじゃないか。⑫を聴いていると、Kjが歌っている姿が思い浮かんでくるよう。

280円コーナーではほかのアルバムとともに結構常連になっているのでチェックしたい。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年5月。

サム&デイブ「ホールド・オン」

駅なんかで売っている格安CDと思われる。株式会社エフ・アイ・シーが企画と制作をしている。パッケージには1500円と書いてあった。ちなみに歌詞付き。対訳・ライナーノーツはなし。

サム&デイブは2人組みのソウルデュオ。1961年から活動スタート。①ホールド・オンは65年のヒット曲で、今でもテレビ番組でよく使われている。

躍らせる音楽でありつつも、2人の歌に比重がより置かれている印象。ノリノリな曲だけじゃなく、聴かせるバラードもある。⑫ユー・ゴット・ミー・ハミンがロックンロールっぽくて好き。クリームとかキンクスみたい。ユー・リアリー・ガット・ミーのよう。

音質は悪くない。ヘッドホンで聴くとベース音が大きい気がするが、まあそれもいいか。

【購入データ】購入店舗=福岡福重店。購入日=2018年10月。

ブライアンズ・ブルーバーズ「ビッグ・ニューオリンズ・ジャズ・ライブ・イン・ジャパン」

日本でのライブだけど、いつどこでの公演かなどの情報は書いていない。一応、日本盤で帯付き。ライナーノーツはないが、バンドメンバーの紹介が短いがある。

かなり伝統的なジャズって感じ。古き良きジャズだなまさに。帯には「伝統のニューオリンズ・ジャズを現代に受けつぐ~」とある。ニューオリンズジャズとは何かと言えば、1900年代初めに生まれたジャズで、その名の通りニューオリンズ発祥のもの。黒人を中心に確立された音楽だそうだ。ジャズそのものというよりはジャズの源流の1つ。だから、伝統的なジャズって印象は間違っていない。

グループの名前になっているブライアン・オコンネルはクラリネット奏者。1960年生まれで、「伝統のジャズを現代によみがえらせた若き名手」とのこと。最年長は1914年生まれのフランク・フィールズでベース担当。生きていれば100歳を超えているが…これまでに数百枚のレコード制作に携わっているという。ほか4人の計6人のメンバーだ。CDのプロデューサーは日本人。日本限定のCDなのかもしれない。

イメージ通りのジャズを聴きたいなら都合のいい1枚だ。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年5月。

 

 

ギターウルフ「ミサイルミー」

1995年発売でサードアルバムにあたるらしい。メジャーデビュー前で、レーベルはless than TV。

②ハリケーンロックがベストトラック。ジャージャージャージャーと鳴らされるギターが不穏でかっこいい。文字にするとまったく伝わらないのが残念だ。③カンフーラモーン頂上作戦も言う事なし。④環七フィーバーは高校生のときにシングルで買った。そのシングルとは別の録音だ。その後も最後の⑫金星ドライブまでギターウルフらしい曲が続く。捨て曲なしのアルバムで、280円なのがうれしい。

もっとも、きれいな演奏の音楽しか聴けませんという人には無理だろう。音割れしまくっているし、ハウリングもしてる。人によってはノイズにしか聴こえないのかも。ギターウルフを初めて聴いたときはノイズの向こうにポップなメロディーが聴こえると感じていたけど、今だとそもそもノイズがあるとも思わなくなってきた。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年9月。

グリーンデイ「トレ!」

2012年発売の11枚目。「21世紀のブレイクダウン」と「レボリューション・ラジオ」の間の時期で、この年はコレを含め3枚のアルバムを出している。ウノ!ドス!トレ!の3部作になっている。

雰囲気は「アメリカン・イディオット」以前を思わせる。といっても「ドゥーキー」や「インソムニアック」まではさかのぼらない。「ニムロッド」よりも「ウォーニング」寄り。ただ、単純に「ウォーニング」に戻ったわけじゃなくて、「アメリカン・イディオット」以降のロックオペラ的な要素も少し垣間見える。

当時、三部作の1作目にあたる「ウノ!」を発売直後に買ったが、正直思っていたのと違った。「アメリカン・イディオット」「21世紀のブレイクダウン」の流れを期待していたので、肩の力を抜くために作られたと思われる「ウノ!」はピンとこなかったのだ。だから、その後の2作は買っていなかった。ブックオフの280円コーナーでも「ウノ!」はまだ見るが、「ドス!」「トレ!」は少ない印象。280円コーナーに並ぶのは売れたものが多いので、やはり「ウノ!」でこの三部作から離れた人は多いんじゃないか。

で、「トレ!」の中身なのだが、曲はいい。激しいロックというより、いい音楽を鳴らそうという意図を感じる。「アメリカン・イディオット」等のシリアスさはない。そこが好き嫌いの分かれ目になるのだろう。

【購入データ】購入店舗=福岡前原店。購入日=2018年10月。

イースタンユース「旅路ニ季節ガ燃エ落チル」

1990年代の後半に日本ではメロコアがブームになった。ハイスタンダードがそのなかでは一番有名。ほかにはスネイルランプがヒットチャートをにぎわせてセルアウト。英語歌詞のバンドも多くて、ハスキングビーとかブラフマンとか、メロコア周辺にいたとにかくたくさんのバンドが日の当たるところに出てきた。メロコアはほどなくして、青春パンクに取って代わられていく。パンクと名乗りつつもパンクの要素を排し、歌う内容はマイルドに。その結果、青春パンクは商業的により成功したジャンルになった。一方、メロコアは青春パンクと入れ替わるように衰退。

リアルタイムで経験したメロコアブームは↑こんな感じだったと記憶しているのだけど、どうだったかな。当時スカコア、エモとかも一緒くたになって出てきた印象があるので、全部ひっくるめてメロコアと言っちゃってる。

で、イースタンユースだ。メロコアかどうかはともかく、90年代後半に注目を浴び始めたバンドだ。このアルバムは1998年発売。まさにドンピシャのタイミングじゃないか。本人たちのルックスも音も歌詞も泥臭さ全開。①夏の日の午後の1曲だけで買ってよかったと思えるほどすばらしい。もっとも日本語にこだわった文学的な歌詞というものなんだろうが、よく分からない。歌詞がなんであれ、このメロディーと熱量が魅力的だ。

パンクというと単純な印象があって、実際にそんな難しいことをやっているわけではないんだろう。けれども個性があるバンドは簡単ななかでもほかにない個性を出してくる。イースタンユースがまさにそう。正直、このアルバムを買ったけども、今となってはよくあるロックバンドでしかないのだろうと思っていた。ところが改めてじっくり聴いてみると、今でもほかにいないなと思わせる個性があった。それがメロディーと熱量だ。

青春パンクには出せないこの暑苦しさが何度も聴きたくなる魅力を生み出している。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年9月。