MAD3「TEENAGE DELINQUENT!」

ギターウルフが好きで10代のころから聴いているのだけど、その流れで知ったのがマッド3。3人組でギターウルフと同じく、革ジャン、サングラス、リーゼント。最新のマッド3がどんな見た目をしているかは分からないけど、当時はそうでした。で、今回280円で買ったCDはそんな格好してる。1998年発売で、メイドインU.S.A.。タワレコのサイトで確認すると廃盤になってる。

基本的にはインスト。つまり歌なし。ゆがんだギターの曲もあれば、軽快でポップな曲もある。パンクもあるし、ベンチャーズのカバー「キャラバン」は原曲に忠実なアレンジ。ギターウルフに比べると、音はかなり聞きやすい。演奏もうまい。

①NEW WORLDのゆがんだギターが気持ちいい。④K.C.H.C.はパンキッシュ。⑤TWANGY EDDIEは一転して1960年代前半の雰囲気を持つポップな曲になる。⑥まではTEENAGE SIDEで⑦からはDELINQUENT SIDEと区別されている。⑨がベンチャーズのカバー。⑩SHININGはスペインチックなアコギで始まって、おやっと思ったら爆音ギターが鳴り響く。⑪BABY BABYは歌もの。

好きな音楽をやってます!みたいな勢いがたっぷり感じられるのでこのアルバムには好感触。爆音でCDを聞きたいときにかけたい1枚です。

【購入データ】購入店舗=天神店か六本松店。購入日=2018年3月か4月。傷なし。マッド3のCDはブックオフであまりみない。

ベン・フォールズ・ファイブ「ベン・フォールズ・ファイブ」

280円で買えるCDの中で間違いのないCDはベン・フォールズ・ファイブだと思う。どこのブックオフに行ってもたいてい売ってる入手しやすさも高ポイント。

このバンドはギタリストのいないロックバンドという珍しい編成。ボーカルのベン・フォールズがピアノを弾きながら歌っている。紹介するのは1995年発売のデビューアルバムで、この時点でバンドのコンセプトも曲のよさも完成されているといっていい。

キムタクのドラマにこのアルバムからの曲が選ばれているのだとか。ドラマのタイトルはロングバケーションだったかな。人気ドラマの挿入歌に選ばれたということは、普段は洋楽を聴かない人にもウケると判断されたからに違いない。じゃなきゃテレビは選ばないだろうし。

1曲目からとにかくポップ。美しいメロディーに衝撃が走る。ハズレ曲なしのまんま最後まって駆け抜ける。英語が分からなくても、後ろ向きな曲ではないんだろうなって、聴いているだけで明るく前向きな気分になれる。

初めてベン・フォールズ・ファイブを知ったのは。フジロックフェスティバルのライブCDで。98年だったか、会場を東京に移してフジロックをやったことがあって、その後、2枚組みのCDが発売されたわけ。イギー・ポップやシーナ&ロケッツ、ブランキージェットシティーにプロディジーも! プライマルスクリームの「バーニングホイール」はカッコよかったし、ケムリも参加してたはず。この豪華なメンツのなかにベン・フォールズ・ファイブもいた。しかも日本語で「金返せ」って歌ってた。そのときはコミカルなバンドかなと思っただけだったんだけど、改めてオリジナルアルバムを聴くと、切なさも含んでる。エモというジャンルがあるけど、それだ。天気のいい日曜日にかけたくなる一枚です。

【購入データ】購入店舗=六本松店、購入日=2018年3月か4月。輸入盤。傷なし。国内盤も280円であるはず。どこの280円コーナーにも1枚はベン・フォールズ・ファイブのCDがあるはずです。

BOOWY「〝GIGS〟JUST A HERO TOUR 1986」

かの有名な「ライブハウス武道館へようこそ」のMCが生まれたという1986年7月2日のライブを収録。発売は1989年12月24日になってます。ようは再発盤でしょう。BOOWYは今までまともに聴いたことがなく、280円であったからとりあえず買ってみたという程度。知っている曲もほぼない。そんなんで聴いてみたけど、当時の若者がかっこいいと思ったのも分かるかな。

BOOWYがヴィジュアル系かどうかはなんとも言えないが、後のヴィジュアル系バンドには多大な影響を与えている。特にボーカルの氷室京介の歌い方を参考にしている人は多い印象。それだけBOOWYの時点で完成されちゃっているとも言える。

演奏はタイトでソリッド。大味なところがない。声にも音にも色気を感じる。メロディーへの歌詞の乗せ方はとてもすばらしい。ただ、歌詞の内容は真剣に聞くようなものじゃない。楽器ではベースの音がしっかり聞こえるのがグッド。次から次へと曲が繰り広げられ、息つく暇がない。シリアスなイメージがあったけど、⑦ホンキー・トンキー・クレイジーなんて明るい曲もある。⑨DREAMIN‘のイントロなんておどるポンポコリンかと思ったくらい。

で、肝心のMCは⑩IMAGE DOWNで。サビを客に歌わせているところに「ライブハウス武道館へようこそ!」と氷室が叫ぶ。さらに続けて、「ライブハウス武道館へようこそ」と今度はおちゃらけた感じで言う。最後は「ここは東京だぜ! OK(笑い)」とトドメの一言を放つ。

正直、全然カッコよくないのだ。とにかく氷室がこのライブを楽しんでいるってことがよ~く伝わってくるMC。伝説化したのもこのライブやこのライブ盤を共有した人たちがバンドと同じく武道館ライブを楽しんだからこそ記憶に残り続けたんじゃないのか。何回聴いてみてもこのMCの部分はカッコいいというより、ほほえましいという言葉がふさわしい。

BOOWYについて誤解していたんだろう。スカしたカッコつけバンドと思っていたけど、音楽が、バンドが好きな人たちの集まりだったんだ。純粋だったからこそハイテンションなMCが生まれたんだ。シンプルな日本語ロックを聞きたくなったらこの1枚。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年3月。汚れあり。特に歌詞カードは飲み物をこぼした跡が大きく残ってパリパリしてる。BOOWYのCDを280円コーナーで見ることは少ない。このCDはのちの完全収録盤が出ているので、特に安くなりがち。

CAST「ALLCHANGE」

キャストというバンドについては全然知りませんでした。発売が1995年。イギリスなので、いわゆるブリットポップというオアシスVSブラーで注目されたムーブメントの中で出てきた新人バンドなのかと思って、手に取ったという次第。ようは期待はまったくしてなかったわけだけど、これがまた良かった。

1曲目のALRIGHTから丁寧な音作りで美しいメロディー。ボーカルの声も曲に合っている。「まるでザ・ラーズみたいだな。というかラーズのフォロワーバンドかな」と思ったくらいに、ラーズ節。ラーズは好きなので、このバンドも一気に好きになったくらい。

調べてみたらラーズっぽいのには理由があった。国内盤だったのでライナーノーツを読んだら、キャストのボーカルであるジョン・パワーはもともとラーズの中心メンバーだったというのだ。ラーズではリー・メイヴァースしか知らんかったもんで…。中心メンバーが新たなバンドで自分のやりたい事を発揮したんだから、そりゃあラーズっぽくなるでしょう。好きな音楽やりたい音楽は変わっていないのだろうし。

ちなみにライナーノーツを担当しているのはかつて存在した音楽雑誌スヌーザー編集長の田中宗一郎氏。こちらもしっかりとタナソー節でいてくれている。

捨て曲なし。すんなり通しで聞けるから曲順もいいのだろう。一番好きなのは⑨WALKAWAY。バラードというほどではないミドルテンポの曲。⑪HOUR GLASSはボーナストラックだけど、流れを妨げていない。⑬TWO OF A KINDはラーズの1stアルバムの最終曲「ルッキンググラス」を思い出してしまった。曲終わりに再生を続けると隠しトラックへ。10分以上早送りしてようやく曲スタート。まあこれはなくていいかな。

ブリットポップというムーブメントはたくさんのバンドを生み出したけど、消えていったバンドも多かった。リアルタイムで聞く分にはよく思えても、後から聞くとパッとしないなんてことはザラ。キャストはラーズからの流れであることを思えば、ブリットポップとは別枠。ただ、時期がブリットポップ期だっただけに、その中のひとつのバンドとして消化されてしまったのかもしれない。ブリットポップ終焉とともにバンドも崩壊している(のちに再結成している)。

アコースティックな手触りのする美メロを堪能したいときはこの1枚って感じです。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年3月か4月。日本盤で帯つき。傷なし。このCDは必ずってほどではないが、280円コーナーで見る機会が多い印象。

マイルス・デイビス「PARIS JAZZ CONCERT」

ブックオフでは珍しいCDを発見。マイルス・デイビスのライブ盤を280円でゲット。

パッと見はオフィシャルではないブートレグ。ブートレグとは米津ナントカのアルバムではなくて、海賊盤と訳されるヤツで、ライブの隠し撮りだとか、ライブのラジオ放送音源とか、関係者から流出した音源とかが元になっている、ミュージシャンやレコード会社のあずかり知らぬCDのこと。レコードの時代から存在していて、いけない香りがするかもしれないけど、洋楽では文化ともいえる存在。もちろんミュージシャンたちは嫌でしょう、レッドツェッペリンのジミー・ペイジは来日するたびに、東京・西新宿の専門店を訪れ、脅して(?)自らの海賊盤をタダで回収していくそう。今もやっているかは分かりませんが、好きなエピソードです。

このCD、可能性としてはブートレグか、よく分からない海外のレーベルが販売しているかじゃないか。洋楽だとたま~に謎のライブCDがタワレコなどに売っている事があるけど、その類かも。ブートレグは音がきれいなサウンドボード音源と客が隠し撮りしたオーディエンス音源に大きく分かれるけれど、今回買ったCDはサウンドボード。若干、音が小さく感じるが、そこはボリュームを上げればOK。

ライブの時期は1973年7月11日。パリのオリンピアシアターでのコンサートを収録したもの。「オン・ザ・コーナー」を発売した翌年にあたります。なので1曲目からリズムの洪水が襲ってくるかのよう。しかも1曲目はメドレー扱いで31分8秒もある!CDの表記によるとトランペットとオルガンがマイルス・デイビス。テナーとソプラノサックス、フルートがデイブ・リーブマン。ギターがピート・コージーとレジー・ルーカス。エレクトリックベースがマイケル・ヘンダーソン。ドラムがアル・フォスター。パーカッションがジェイムス〝ムトゥーメ〟フォーマンとのこと。

マイルスのライブ盤が280円で聴けるのは万々歳だけど、詳しい事も知りたい。というわけでネットを調べると、どうやらラジオでこのコンサートが放送されたようなのです。そりゃあ音がいいわけだ。リーブマンのフルートにマイルスのトランペットが絡みつく。ギターも入ってくる。ドラムがアツく叩いてバックアップする。パーカッションがよく聞こえるのはグッド。全体として満足のいく内容だと思います。オフィシャルのライブ盤と比べると物足りなさがあるが、これはこれで十分に楽しめる。なんてたって280円なんだから。

リズムの洪水に溺れたくなったら聞きたい一枚です。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=3月か4月。傷なし。輸入盤でしょう。280円コーナーで見ることはほぼない。

ドラゴンアッシュ「INDEPENDIENTE」

ドラゴンアッシュといえば世代的に「陽はまたのぼりくりかえす」とか悪そうな奴はだいたい友達の「グレイトフルデイズ」がドンピシャでした。だけどその後、ほぼ聞かなくなって、「ファンタジスタ」がちょっと耳に残ったくらい。

このアルバムは2007年発売。14曲あるけど曲目見ても知っている曲はなし。ただなんとなく「280円だからいいか」と買ってみたら、ヘビーローテーションすることに。

冒頭のインスト曲からモロにラテン!って感じのアレンジ。ラップとかミクスチャーのイメージが強かったので意外感に打たれまくり。軽快なリズムに優しいメロディー。とにかく聞きやすい。ラップ色はあんまない。とにかく気持ちよさそうに歌ってる。演奏も気持ちよさそう。前半からノリノリで飛ばしていく一方、⑫few lights till night、⑬beautiful、⑭夢で遭えたらと3曲続くメロウな曲がアルバムの終わりにピッタリ。夜の都会でヤンチャしてた若者が、南国に行ってのんびり羽を伸ばしている感じ。聞き手を煽るような部分がないので、気軽に聞ける。

ほぼ全編ラテン!なんで、似ていると感じる曲もチラホラ。これについてはまったくマイナスじゃなくて、「ラテンで行く!」というコンセプトを全うしている分、安心して聞ける。歌詞はあまり頭に残らない。自分が年を取ったからか、「陽はまたのぼりくりかえす」当時の曲みたいに歌詞をしっかり聞くという感じでもない。

残念なのは隠しトラック。最後の⑭が終わってしばらくそのままにしておくとスタート。ラジオDJみたいなトークが始まって、もう1曲あるといい、全員楽器を持ち替えてやるとアナウンス。その曲が…。高校生のときに聞いたドラゴンアッシュのアルバム「Buzz Songs」の隠しトラックは良かったんだけど、今回のは完全にファン向け。ラテンじゃなく、ここだけ浮いてしまっている。

隠しトラックが残念だけど、これといって何か聞きたいものがないときに、じゃあこのCD流しておこうかと思う、そんな一枚です。

買ったのは初回限定盤。CDエクストラでビデオクリップが3曲分付いてるからそれが限定なのかな。

【購入データ】購入店舗=福岡の六本松店。購入日=2018年3月か4月。初回限定盤。傷なし。帯なし。このCDはどこのブックオフの280円コーナーでも見つけられる。メルカリで探すと、300円から999円くらいでした。

ジェームス・ブラウン「FUNK POWER 1970:A BRAND NEW THANG」

まず取り上げるのがジェームス・ブラウンのこのアルバム。JBのCDはライブ盤を持っていたけど、それがピンと来なかったから、これまで聞いてこなかった。このCDも中身がよく分からないけど、「まあ280円だし」と期待せずに買ったら大当たり!

1970とタイトルにあるけど、発売は1996年。70年に引き連れていたオリジナルJB‘s、つまりバンドに焦点を当てたアルバムなのだ。わざわざ後年になってフォーカスされるだけあって、バンドの演奏はアツい。収録曲もゲロッパで有名な「セックスマシーン」(2バージョンある!)「ソウルパワー」など代表曲ばかり。全10曲だがベストアルバム的でもある。10分を超える曲が3曲あるので収録時間は長めで、聞き応えあり。

1曲目の「セックスマシーン」からトバしてる。特にベースがグイグイと跳ね回っている。ベーシストはブーツィー・コリンズ。この人のウィキペディアが面白い。JB‘s時代はJBにことのほか気に入られていたというけど、ある日、LSDの影響で自分のベースがヘビに見えてしまい、ステージから逃亡。バンドを解雇されたという。

ブーツィーがいた時代のJBは絶好調。有名なライブアルバム「ライブ・イン・パリ71」や、もう1つのコンピレーションアルバム「イン・ザ・ジャングル・グルーブ」でもブーツィーのプレイを聞ける。同じコンピ盤で比べるなら、「イン・ザ・ジャングル~」より「FUNK POWER」の方が好きです。先に聞いたからかもしれませんが…。

オススメは2曲目「スーパーバッド」。ファンクが苦手、ファンクを知らないという人でもグッと引き込まれる可能性大。入門CDとして最適でしょう。自分にとってそうだったから。

アマゾンで調べると中古品2680円よりになってる。これはちょっと高過ぎでしょと思うけど、これを280円コーナーゲットできたのはラッキー。だけど、その後、JBのCDをいくつか買い漁ってしまったので散財してしまった。それだけ頭をガツーンとやられた一枚です。

【購入データ】購入店舗=福岡市の天神店か六本松店。購入日=2018年3月か4月。輸入盤で傷のない美品。このCDを280円コーナーで見る機会はあまりない。メルカリで探したら、549円で売っているのを発見。