m.c.A.T「m.c.A.T」

m.c.A.Tのファーストアルバム。昨年はダ・パンプが再ブレイクしたけど、もともとはこのm.c.A.Tが曲を作っていた。それらはとってもキャッチャーですばらしかった。

で、本家のアルバムなのだが、これはヒップホップなのかラップなのか。その後のJラップの礎を築いたといってもいいんじゃなかろうか。ラップでありながら、とってもポップ。歌詞はシリアスさはなくて、女のケツを追いかけることに一生懸命。歌はとてもうまい。イッサ以上のうまさなのだから恐れ入る。

②コーヒー・スコッチ・マーメイドはジャミロクワイ的でもある。③のようなシングル曲はやはり頭1つ抜けている。⑤みたいなミディアムテンポの歌モノもいけるのは、凡百のラッパーとは差を感じさせる。⑧のボンバヘッは際立っている。

ボーカルもトラックもすばらしい。ただ、歌詞が脱力系。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年12月。

ビル・エヴァンス「ポートレイト・イン・ジャズ」

アメリカのピアニストの4枚目。オリジナルは1959年に発売された。このCDは2008年に再発売されたものと思われる。オリジナルは②と③が枯葉だが、こちらは②と⑪が枯葉。ボーナストラックは⑩~⑬。そのうち2曲が未発表と書いてある。どうしてこうなっているかは分からない。

②枯葉は元々シャンソンの曲で、昔からジャズの有名なスタンダードでもある。ビル・エヴァンスバージョンを聴くと、こんなに複雑な曲だったっけと驚く。ベースとのかけ合いというのか、コンビネーションを聴かせてくれる。6分とちょっと長くもある。

⑥恋とはなんでしょうもいい。弾きまくりのピアノにやはりベースが絡み合って、ドラムも負けずにチャンスに顔を出してくる。トリオという構成がいいのだろう。足すものも引くものもない。これが一番の形だ。⑨ブルー・イン・グリーンはマイルス・デイビスの「カインド・オブ・ブルー」にもある曲。マイルスとビル・エヴァンスのどちらが作曲したのかは諸説あるみたい。マイルス版よりも激しく聴こえる。

【購入データ】購入店舗=六本松。購入日=2018年11月。

CAPSULE「sugarless GiRL」

パフュームのプロデュースで有名な中田ヤスタカの本業。カプセルとしては8枚目のアルバムで2007年発売。

②は吉幾三とコラボしたネット動画で有名じゃなかろうか。コラボといってもネットユーザーが勝手に編集しただけなんだが、とてもすばらしいセンスの映像だった。オリジナルをこうして聴くと感慨深い。

トータルで36分ほどの短いアルバム。必ずしもクラブ仕様なダンストラックだけが収められているわけではない。④はパヒュームに通じる歌モノ。正直パヒュームとの差を感じられない。

歌モノにするのか、クラブミュージックアルバムにするのか、もう少しどっちかに寄せた方が統一感があって、よりよかったんじゃなかろうか。

【購入データ】購入店舗=福重店。購入日=2018年9月。

スラップスティック「スラップスティック」

アメリカのスカコアバンドのアルバムで25曲入り。1990年代に活動していていて、これは97年発売。パンクmeetsブラスバンドといった感じ。日本ではポットショットやケムリがそうなるのかな。

荒々しいところもあるけど、かなりゴキゲンな音楽。1曲が短い。速いテンポで曲が進んだと思いきや、一転してゆったりとした横ノリになるのもスカらしい。⑤はかなりハードだけど、ブラスバンドが入ることにより、柔らかさが出る。

25曲もあると似た曲が多くうんざりしそうなものだが、意外にも聴ける。バリエーションが多いのかも。

【購入データ】購入店舗=福重店。購入日=2018年11月。

プリンス「アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ」

1985年発表。日本盤。全9曲。ジャケットからはサイケっぽいのかなと想像。①アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイはワールドミュージックっぽい導入からやはりサイケっぽいアレンジも。ジャンル分けの難しい、フリーダムな曲だ。②ペイズリー・パークがクール。④ラズベリー・ベレーもノリがよくていい。

ソウルでありファンクであり、またワールドミュージックであったりと音の要素はいろいろ。一番の魅力はプリンスの歌い方にあるようだ。⑤タンバリンに歌い方の独自性を感じる。ナルシシスティックでありながら、どこか優しさも感じる。

なかなかプリンスは奥が深そうだ。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年3月。

早川義夫「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」

280円コーナーになさそうなものがあったのでビックリ。すでに持っていたような気もしたが買った。家に帰って探したら、やはり持っていた。280円とはいえ結構ショックを受ける。

オリジナルの発売は1969年。このCDは1989年発売。タイトルはなんだか意識高い系な感じだ。斜に構えているというか。ただ音楽を聴いてみると、結構切実。②もてないおとこたちのうたという曲があるが、ようするにタイトルは強がりなのだ。かっこいい方がいいけれど、かっこよくできない。だから「そんなのかっこ悪い」と言うしかない。何か哲学があってタイトルの境地に達したというわけではない。もしまわりに「かっこいいってかっこ悪いよね」という人がいたら、いたたまれなくなるだろう。

早川義夫という人はジャックスというバンドのボーカルだった。これはソロ作品。この人の声の特長ゆえではあるが、ネガティブなパワーがある。恨めしそうに歌い上げるから、とっても身につまされる。

⑥NHKに捧げる歌は受信料批判。69年から受信料が問題視されていたとは知らなかった。「押し売り」ときっぱり。この曲に限らずどれメロディが聴き応えある。明るい曲はないので聴く前に気合を入れたい。聴いてみると、かなり大事な1枚になる。

【購入データ】購入店舗=飯倉店。購入日=2018年5月。

バックドロップボム「THEBDBEST」

日本のミクスチャーバンドのはしりといわれるバンドのベストアルバム。PVを収めたDVDが1枚ついている。発売は2009年。

ミクスチャーという言葉のイメージと違ってそこまでゴリゴリしていない。手触りがアナログというか、ちゃんとバンドが演奏しているところが頭に浮かぶというか。この感じは好き。

曲順が時系列なのかは分からないが、後半にいくほどいい。⑪REMIND MEが出色。複雑な構成で飽きさせない。やたらポップなところも出てくる。歌詞の英語は何を言っているのかよく聴き取れない。終盤のギターの浮遊感は癖になる。ちょっとマッドカプセルマーケッツみたいなところがある。この曲以降、こういった複雑な構成を持つ曲が配置されている気がした。それらの曲がとってもいい。キラーチューンはないが、最後まで聴ける作品だ。

【購入データ】購入店舗=福重店。購入日=2018年11月。

ザ・メトロス「ザ・メトロス参上!」

ロッキンオンが好きそうなバンド。というか解説・粉川しのとあるのを見る限り好きなんだろう。2008年発売の日本特別企画盤。

ゴキゲンでちょっと悪くてバカ。そんな楽しいロックンロールだ。③ガブリエルのギターのゆがみ具合がいい。

ルックスも悪くないし音楽もいいし、でもそんなに売れていないイメージがある。調べるともう解散したらしい。たった3、4年の活動期間だった。ウィキペディアを見ると恵まれた生まれみたいで、バンドにこだわる理由もなさそう。それと同時にロッキンオンの神通力もまったくなくなったということでもありそうか。かつてはロッキンオンで推せば多少は売れる傾向にあった。でももう無理だろうね。雑誌が仕掛けるなんて今じゃ考えにくくなってしまった。

全5曲約15分をロッキンオンのことに少し頭をめぐらせてみたよ。

【購入データ】購入店舗=駒沢大学駅前店。購入日=2018年12月。

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン「バトル・オブ・ロサンゼルス」

1999年発売のサードアルバム。全13曲で日本盤なので最後の1曲がボーナストラック。ラップメタルというジャンルでたくさんのフォロワーを生んだモンスターバンド。似たものを全部レイジ・チルドレンと言っていいのかは分からないけど、レイジ的な音を出すバンドはすごく多い。

どれもパワーにあふれている。政治的な主張があるバンドで、そのメッセージを音楽に乗せるという明確な意志があるから、迷いなくぶれることがないのだろう。だから、音がパワーにあふれている。硬質なギターリフが力ずくで体を揺り動かしてくるような衝撃を持っている。アジるようなボーカルだがちゃんとメロディーがある。どれもいいが、②ゲリラ・ラジオ⑪アッシーズ・イン・ザ・フォールが好き。

もっともバンドにとって肝心の政治的メッセージをちゃんと受け止めている人がどれだけいるのだろうか。対訳を見てみたが、思った以上に直接的な歌詞だった。レイジの怒りは理不尽な体制や権力に向けられている。ラップメタルというジャンルへの影響力が政治的メッセージと共に浸透したのならば、もっと社会は変わっていていいのでは? しかし、現実はトランプ大統領を生んだわけだ。

このアルバムはもう20年も前のもの。今の時代にもレイジみたいな存在が必要だ。

【購入データ】購入店舗=福重店。購入日=2018年10月。

ザ・ビーチボーイズ「ザ・ビーチボーイズ・トゥデイ!」

1965年発売のタイトル。買ったのはもともと次のアルバム「サマーデイズ」と2枚一組で売られていたと思われる。それはパッケージをみると「サマーデイズ」の曲目もあるから。なので2枚CDがあるかと思ったら、1枚だった。その1枚に両方入っているというのでもなく、がっかり。

全12曲で約28分。ビートルズと比較されることが多いけど、改めて聴いてみるとビートルズにはないコーラスが彼ら独特のものだとはっきり分かった。ビートルズとは全然違う。ビーチボーイズはあくまで王道を貫こうとしているかのようだ。ビートルズも王道だけど、例えばトゥモロー・ネバー・ノウズが王道なのかというと違う。好んで大胆なことをやって、それをポップスとして昇華していた。また、ビーチボーイズは声をより大事にしているみたいだ。⑧アイム・ソー・ヤングを聴いてそう感じた。

アルバムは前半の方がテンポが良くて好き。後半の方がコーラスはきれいだと思う。

【購入データ】購入店舗=福重店。購入日=2018年5月