ギターウルフ「ミサイルミー」

1995年発売でサードアルバムにあたるらしい。メジャーデビュー前で、レーベルはless than TV。

②ハリケーンロックがベストトラック。ジャージャージャージャーと鳴らされるギターが不穏でかっこいい。文字にするとまったく伝わらないのが残念だ。③カンフーラモーン頂上作戦も言う事なし。④環七フィーバーは高校生のときにシングルで買った。そのシングルとは別の録音だ。その後も最後の⑫金星ドライブまでギターウルフらしい曲が続く。捨て曲なしのアルバムで、280円なのがうれしい。

もっとも、きれいな演奏の音楽しか聴けませんという人には無理だろう。音割れしまくっているし、ハウリングもしてる。人によってはノイズにしか聴こえないのかも。ギターウルフを初めて聴いたときはノイズの向こうにポップなメロディーが聴こえると感じていたけど、今だとそもそもノイズがあるとも思わなくなってきた。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年9月。

グリーンデイ「トレ!」

2012年発売の11枚目。「21世紀のブレイクダウン」と「レボリューション・ラジオ」の間の時期で、この年はコレを含め3枚のアルバムを出している。ウノ!ドス!トレ!の3部作になっている。

雰囲気は「アメリカン・イディオット」以前を思わせる。といっても「ドゥーキー」や「インソムニアック」まではさかのぼらない。「ニムロッド」よりも「ウォーニング」寄り。ただ、単純に「ウォーニング」に戻ったわけじゃなくて、「アメリカン・イディオット」以降のロックオペラ的な要素も少し垣間見える。

当時、三部作の1作目にあたる「ウノ!」を発売直後に買ったが、正直思っていたのと違った。「アメリカン・イディオット」「21世紀のブレイクダウン」の流れを期待していたので、肩の力を抜くために作られたと思われる「ウノ!」はピンとこなかったのだ。だから、その後の2作は買っていなかった。ブックオフの280円コーナーでも「ウノ!」はまだ見るが、「ドス!」「トレ!」は少ない印象。280円コーナーに並ぶのは売れたものが多いので、やはり「ウノ!」でこの三部作から離れた人は多いんじゃないか。

で、「トレ!」の中身なのだが、曲はいい。激しいロックというより、いい音楽を鳴らそうという意図を感じる。「アメリカン・イディオット」等のシリアスさはない。そこが好き嫌いの分かれ目になるのだろう。

【購入データ】購入店舗=福岡前原店。購入日=2018年10月。

イースタンユース「旅路ニ季節ガ燃エ落チル」

1990年代の後半に日本ではメロコアがブームになった。ハイスタンダードがそのなかでは一番有名。ほかにはスネイルランプがヒットチャートをにぎわせてセルアウト。英語歌詞のバンドも多くて、ハスキングビーとかブラフマンとか、メロコア周辺にいたとにかくたくさんのバンドが日の当たるところに出てきた。メロコアはほどなくして、青春パンクに取って代わられていく。パンクと名乗りつつもパンクの要素を排し、歌う内容はマイルドに。その結果、青春パンクは商業的により成功したジャンルになった。一方、メロコアは青春パンクと入れ替わるように衰退。

リアルタイムで経験したメロコアブームは↑こんな感じだったと記憶しているのだけど、どうだったかな。当時スカコア、エモとかも一緒くたになって出てきた印象があるので、全部ひっくるめてメロコアと言っちゃってる。

で、イースタンユースだ。メロコアかどうかはともかく、90年代後半に注目を浴び始めたバンドだ。このアルバムは1998年発売。まさにドンピシャのタイミングじゃないか。本人たちのルックスも音も歌詞も泥臭さ全開。①夏の日の午後の1曲だけで買ってよかったと思えるほどすばらしい。もっとも日本語にこだわった文学的な歌詞というものなんだろうが、よく分からない。歌詞がなんであれ、このメロディーと熱量が魅力的だ。

パンクというと単純な印象があって、実際にそんな難しいことをやっているわけではないんだろう。けれども個性があるバンドは簡単ななかでもほかにない個性を出してくる。イースタンユースがまさにそう。正直、このアルバムを買ったけども、今となってはよくあるロックバンドでしかないのだろうと思っていた。ところが改めてじっくり聴いてみると、今でもほかにいないなと思わせる個性があった。それがメロディーと熱量だ。

青春パンクには出せないこの暑苦しさが何度も聴きたくなる魅力を生み出している。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年9月。

 

slank「slank nggak ada matinya」

謎のCDに見えた。紙ジャケタイプで、ジャケットの端っこになぜかケンタッキーフライドチキンのロゴがある。カーネル・サンダースだっけ? 何かタイアップしたバンドなのかな。よく分からないが、雰囲気的にパンクロックを感じさせたので、買ってみた。

聴いてみると英語じゃない!? いや、英語もあるっぽい。でも英語だけじゃない。調べてみたら、なんとインドネシアのバンドだった。1983年から活動しているベテランで、このアルバムは2013年発売の20枚目! なんでケンタッキーかは分からないけど、まともなバンドだったのだ。ケンタッキーのロゴがあるから企画バンドかと思ってた。

音はハードロック、ちょっとメタル的なところもある。ただそれだけじゃない。このアルバムを聴いていると、後半にガラッと展開が変わるタイプの曲を得意としているみたい。④は何かの演説なのかな。演説のあとに曲が始まり何度もデモクラシーと歌っている。英語版のウィキペディアにこのバンドの項目があるが、そこには政治的な歌詞を歌うとある。シリアスな音でもあるしそうなんだろう。⑤はレゲエっぽさのあるポップな曲。⑥はスライドギターっていうんだったか、ストーンズのブライアン・ジョーンズみたいな感じ。ブルースやカントリーだな。⑨はかわいらしい。

バラエティーに富んだ全11曲。音楽が好きなんだってことが伝わってくるのもいい。テキトーに買ってみたものだけど、いい買い物だった。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年9月。

ライ・クーダー&キューバン・ミュージシャンズ「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」

1997年発売の有名アルバム。これをきっかけにワールドミュージックへの注目度が上がったんじゃなかったかな。フィーチャーされているのはキューバの音楽だ。

②を聴いていると砂浜が思い浮かぶ。砂浜にある木でできた小屋で演奏しているイメージ。食事してたら地元の音楽家が演奏しだしたみたいな。多くの曲がきっと庶民の身近で鳴っていた音楽なんじゃないかと思わせる。

曲が進むにつれて、シリアスな側面も出てくる。⑨は暗い部屋で一心不乱に踊っているみたい。ムシムシとして汗が飛び散る。カンデーラという曲名で火という意味みたい。同じリズムが繰り返されて、段々と気持ちが一点に集中していき無心になっていく。突然終わったと思いきや、⑩では一転して穏やかな曲になる。キューバ音楽、結構懐が深い。

世界にはいろんな種類の音楽がある。このアルバムのような有名CDは入門に最適だ。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年6月。

ハロウィン「ザ・ベスト ザ・レスト ザ・レア」

ハロウィンの時期なのでハロウィンを買ってみた。ドイツ出身のメタルバンドで30年以上の活動歴がある。その間にメンバーチェンジはたくさん行われている。聴くのは初めて。だからベストアルバムを購入。1991年発売で、ジャケットはカボチャ。

①I want outから超ポップ。これだけ美メロならこのバンドは日本で相当受けたんじゃないかと思わせる。③フューチャーワールドはかっこいい。⑦ハロウィンは13分に及ぶ大作。ダレがない。10分から11分あたりが好き。

テンポが速く、重たくて鈍いというところが少しもない。この重たくないという点がとてもいい。

⑧livin aint no crimeはとても明るい曲調。⑪savageは洗練されている印象。⑬keeper of the seven keysがまた13分の大作。ゆっくりとした始まりだが、段々とハードに変わっていく。こういう曲の展開はどういう発想でどういう話し合いをして作っているんだろうか。とにかくすごいなあとうっとりしてしまう。

初めてのハロウィン体験だったけど十分に楽しめた。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年10月。

ジ・エナミー「ミュージック・フォー・ザ・ピープル」

2007年デビューのイギリスのバンドのセカンドアルバム。発売は2009年。日本盤でボーナストラックが4曲もある。CDエクストラでビデオクリップも1曲ある。

①エレファントソングの導入は壮大。厳かでこのアルバムのムードを決定付けている。②ノータイム・フォー・ティアーズはシングル曲。このバンドはオーソドックスなギターロックではなくて、カサビアンみたく踊れるロックを志向しているようだ。アレンジは狭い会場よりも広い会場でシンガロングされることを期待しているかのよう。

③から数曲はちょっとだけ壮大さが抑え目になる。美しいメロディーでしっとり歌い上げる。⑤ラストグッバイは一瞬だけブラーのユニバーサルがちらついた。⑥ネイション・オブ・チェックアウト・ガールズにはパルプのコモンピープルっぽいところも。⑧ドント・ブレイク・ザ・レッドテープはザ・クラッシュのロンドンコーリングだ。このバンドのCDを聴くのはこれが初めてだが、UKロックの系譜でもオアシスのような労働者階級から出たバンドではなく、中流階級的な雰囲気がある。

歌詞を読んでみると、日々を生きる中での怒りや失望がつづられている。政治や官僚といった権力批判が多く、その姿勢は労働者階級のそれだ。ただ、労働者階級で成功したバンド・オアシスはあからさまな権力批判はそんなになかった。ジ・エネミーの歌詞は労働者階級というのは知的に過ぎる気がする。そういう点ではザ・クラッシュを目指していたのかもしれない。

2016年に解散したという。まとまったいいアルバムだと思うが、この手のロックバンドはヒップホップ勢に飲み込まれやすいのかもしれない。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年6月。

 

ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン「オレンジ」

1994年発売。日本盤、帯付き。ブルースから発展したロックンロールは今に聴かせるバンド。有名バンドで評価も高いが、人を選ぶバンドじゃなかろうか。

ポップさはない。ブルースが下地にあるとはいえ、古き良きブルースをやるバンドじゃない。もちろんハードロックバンドみたいにわかりやすいわけでもない。楽器をやっていた人ならより楽しめる演奏なんじゃなかろうか。ジャズみたいに経験者だとより分かることがあって、聴き応えを感じるような。ベースレスバンドなんで特にギター経験者にはいいかも。

⑤sweat、⑧brenda、⑨dissect、⑪full grownがビビッときた。アルバム後半の方が好き。2人のギターを支えるドラムが光ってる。ちなみに全15曲のうちラスト2曲がリミックスバージョンだが、ピンとこないので聴かなくていいレベル。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年9月。

 

カサビアン「48:13」

カサビアンの名前は知っていたけど、これまでまったく聴いてこなかった。オアシス以降のイギリスバンドの中では大成功の部類だというイメージだった。

このアルバムは2014年発売。5枚目にあたる。②bumblebeeeが期待以上にいい。聴いている人間の気分を上げていこうとする曲だ。でも無理やり上げようというのではなく、自信を持って促す感じ。このときすでにデビュー10年ほどなので、余裕があるのだろう。

③stevieは既視感のある曲だが、これもよし。⑤doomsdayもいいなあ。⑥treatもそうだが、とにかく踊れる曲をということなんだろうか。⑦glassも既視感あるな。ラストの⑬s.p.s.は意外な感じがして、むしろ好き。落ち着いた曲もできるんだと。

アルバムとしてまとまりもあって、1曲1曲もしっかり作られている印象。初めて聴いたけどよかった。全編通してこういう音楽をやりたいという意志があって、余裕も感じかれる。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年5月。

ポリシックス「カラテハウス」

2007年発売。DVD付きなので初回限定盤かもしれない。バンドの存在は知っていたけど、聴くのは初めて。ニューウェイブ、ポストパンクなのは分かっていたが、まさにそんな音だった。

ニューウェイブには苦手意識があって、わざと奇をてらっているようなところが受け付けなかった。ただ、このアルバムにはそんな拒絶反応は起きなかった。ものすごくポップでキャッチャーなのだ。②エレクトリックサーフィンGOGOはシングル曲にふさわしい。J-pop的な展開もあるので聴きやすい。④catch on everywhereもどポップ。⑪夢・打ち込みもいい。⑮you-you-youはザ・イエロー・モンキーの「プライマル。」のメロディーを思い出した。

へんてこりんだけどへんてこりん過ぎないところがgood。ポップソングアルバムとして聴けるので、きっと初ポリシックスに最適という評価をファンの間でもされているんじゃないだろうか。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年4月。