オムニバス「パンク・オー・ラマ」

10代のころよく聴いていたのが、パンク・オー・ラマというオムニバスCD。アメリカのレーベル「エピタフ」が発売していて、20曲以上のパンクソングが収録されている。定価1000円と安くてお得なのだ。当時に買ったものはどこかいっちゃたので、改めて買い直してみた。

280円コーナーで買ったのはシリーズの3から6。よく聴いていたのは3と4だった。NOFX、ランシド、ペニーワイズなど有名どころも入ってる。特に3の冒頭2曲は聴いていて気持ちがいい。思い出補正かもしれないが、サイコー。たくさんのバンドが参加しているから、気に入ったバンドはオリジナルアルバムを買おうという動機になる。実際にテン・フット・ポールのアルバムを買った記憶がある。]

たくさん曲はあれど、NOFXとランシドが抜きん出ている。気軽に買ってみて、気に入ったものを探してみたい。

【購入データ】購入店舗=福岡飯倉店。購入日=2018年5月。

角松敏生「タイムトンネル」

1999年発売。93年に歌手活動を凍結して以来のアルバムとなる。角松敏生のイメージは都会的なポップス。今のJ-popを作り上げた人の1人という印象。このアルバムもポップスとしては極上レベルのものが詰まっている。

細かいところまで注意が行き届いているサウンドプロダクション。声に関しては好き嫌いがあるだろうけど、涼しげで曲調に合っている。③SHIBUYAという曲もある通り、都会のにおいがする。出身も渋谷区だそうだ。地方出身の自分としてはあこがれながらも、どこか毛嫌いしてしまうという相反した気持ちでいつも角松敏生の曲を聴くことになる。嫌味のないことが嫌味というか。

基本的にはバブリー。だけどバカバカしいくらいに明るいというのでもない。歌詞カードに使われているのは渋谷のスクランブル交差点を上空から撮った写真。人々はみんな傘をさしている。晴れている日ではなく雨の日をわざわざ選んでいることに意味がありそう。みんな疲れている。そんな疲れを少しでも癒やしたり、忘れさせたりしたいという思いが角松敏生にはあったんじゃなかろうか。ド派手な曲は少ない。

海やドライブのときに聴きたい曲のイメージの角松敏生だけど、このアルバムはそんな感じじゃない。雨の日に聴きたい1枚。

【購入データ】購入店舗=福岡飯倉店。購入日=2018年5月。凍結後のアルバムなら280円にたまにある。

スタイル・カウンシル「エクストラズ」

スタイル・カウンシルはとっても好き。280円コーナーに探していたエクストラズがあって思わずガッツポーズ。発売は1993年。つまり解散した後に出たB面集みたいなもの。ザ・ジャムにも同様の趣旨のエクストラズが発売されている。

以前はスタイル・カウンシルのオシャレな感じが受け付けなかった。ザ・ジャムでもパンク色の強い前半が好きで、後半のいろんなジャンルの音楽に手を出しているのはあまり聴かなかった。ところが年を取ったからか、好みが変化。むしろ今は「インザシティ」みたいなのが聴いていられなくなってしまった。

それに気付いたのはスタイル・カウンシルの「カフェ・ブリュ」の中古レコードを買ったから。聴いてみたらすごくよかった。オシャレな音楽、いいではないか。しっとり歌うポール・ウェラーもいいではないか。

B面集だし時系列で曲が並んでいないので統一感はない。とはいえ全22曲のなかにはオリジナルアルバムに入っていてもいいのにと思う曲がいくつかある。一方、なかにはピンとこないのもある。曲に歌が追いついていないというか、ソウル色が強くなるとボーカルが弱いように聴こえる(未発表曲なので本気で歌ってないかもしれないが)。

スタイル・カウンシルを知らない人には勧めないが、オリジナルアルバムを買って気に入ったという人なら満足できるはず。紅茶を飲みながら聴きたい1枚。

【購入データ】購入店舗=福岡飯倉店。購入日=2018年5月。日本盤。帯なし。スタイル・カウンシルは280円コーナーでたまにある。

ジ・アンチドーツ「L.A.lights」

なんとなく買ってみた。タイトルにLAとあるから、ジャケットの夜景はロサンゼルスなのかな。都会的な印象に引かれた。発売は2008年、日本盤だけど、歌詞もライナーノーツもなかった。

パッケージを開けるとバンドメンバーが写っていた。4人いてアジア系、黒人、ヒスパニックと人種混成のよう。この写真を見てヒップホップかなと直感。聴いてみたらそうだった。いろんな人種がいっぱい住んでいるアメリカだけど、アジア系もヒスパニックもきっと黒人だって少数派という感覚を抱いているんじゃないかな。そういう思いを音楽に乗せるなら、今の時代ならロックよりもヒップホップなんじゃなかろうかと思ったわけだ。

ヒップホップは苦手なのだが、このアルバムはとっても聴きやすい。といってもサビになるとポップスになっちゃうようなヒップホップではなく、終始ちゃんとヒップホップしてる印象。特にトラックがオシャレで都会的。⑤あたりはゴリラズみたいなカラフルさがある。ただずっと聴いていると単調にもなってくる。曲のバリエーションは少ない。

夜の都会で聞きたい1枚。

【購入データ】購入店舗=福岡福重店。購入日=2018年5月。

ザ・クークス「コンク」

これもザ・ストロークスに続くガレージロック・リバイバルの流れの中で出てきたバンドだと思う。2008年発売のセカンドアルバム。全英チャートで1位を獲得している。輸入盤。シンプルなロックンロールで美メロ。

一聴した感じではレイザーライトというバンドを思い起こす。プロフィールがすごくて、イギリス政府が設立したミュージシャン養成学校の出身。ロンドン五輪の開会式だったかで、ロックの歴史を振り返るような演出があったけど、イギリスにとってロックは自分たちの文化なんだな。だからこそ、国営音楽学校ができて、そこ出身のバンドがヒットチャートをにぎわす事態になる。すばらしいじゃないか。

280円コーナーの利点は新人バンドでよく分からなくて新品では買い逃してしまったものを、時間がたってからとはいえ買い漁ることができる点だ。たいてい聴けるものなのでさらに助かる。現在、バンドがどんな状況にあるかは分からない。アルバムはその後、2枚出しているみたいだ。

ガレージロック・リバイバルの流行が好きな人にとっては満足のいくアルバムじゃないかな。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年3月。280円コーナーでこのCDはよく見る。ファーストアルバムはまだ発見していない。

ニューオーダー「リパブリック」

1曲目のリグレットが鉄板曲。それどころかこの曲のためのアルバムとすら言う人もいるのだとか。それくらいにポップでキャッチャーな曲だ。

発売は1993年。買ったのはアメリカ盤。①以外の曲が悪いわけではない。②ワールドだっていいよ。④スプーキーもね。どの曲も聴きやすいので、実際に聴いたのならば①だけが聴きどころだなんて思わないんじゃないか。

後半パワーダウンしてるかなとは正直思う。が、280円で買って、しまったということはないはず。

【購入データ】購入店舗=飯倉店。購入日=2018年5月。ニューオーダーのCDはたまに280円コーナーにある。

ザ・ジェ-ムス・ハンター・シックス「minute by minute」

ジャケ買い。紙ジャケでオッサンたちが階段の踊り場でたむろしているモノクロの写真が使われている。デザインと合わせて、ベテランのこなれた音楽なんじゃなかろうと想像。佐野元春とかそんな感じかなあと。

発売は2013年。なのに音は1960年前後からやってきたみたい。ネットで調べてみると、バンドの中心人物であるジェームス・ハンターはヴァン・モリソンが「最高の声の持ち主」とほめたほどの実力者だそうだ。ソウルとかリズム&ブルースを得意とする歌い手なんだって。確かにしゃがれた声はすてき。④ハートブレイクはとてもいい曲だ。

このアルバムを聴いていると米パンクバンドのグリーンデイが覆面バンドとして出したCDを思い起こす。60年代風のロックンロールをやっていて、ああ、この曲の元ネタはあれか~なんて気付く人には分かる内容だった。それはそれでよかったけれど、だったらオリジナルを聴いた方がいいんじゃないかという疑問もあった。モノマネを聴く必要もないわけだ。

このアルバムが60年前後のソウルミュージックと比べてどうかっていうのは分からない。その辺の音楽の知識が足らないからなんとも言えない。ただアルバム時代はとても聴きやすく、飛ばしたくなる曲もない。ジャケットからイメージできる音でおおむね満足。強いお酒を飲みながら聴きたい1枚。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年5月。輸入盤。メイドインEU。全12曲。

ミッシェル・ポルナレフ「ポルナレフ・ベスト」

有名な「シェリーに口づけ」を含む全23曲のベストアルバム。曲は知っていても誰の曲なのか知らなかった。280円コーナーで見つけたときは、ジャケットが60年代、70年代風だなと直感。スマホで調べてから購入することに。

たくさん曲が入っていてお得感たっぷり。①シェリーに口づけがいきなりのクライマックスだけど、最後まで十分に楽しめるほど曲が多彩。すべての曲に邦題がついているように、70年代の日本ではすごく有名人だったそう。日本の音楽シーンもこのフレンチポップにたくさんの影響を受けたでろう。日本の歌謡曲が参考にしたんじゃないかと思える曲③愛の休日もある。こんなアレンジの歌謡曲、ありそう。

50年近くまえの日本でどうしてフレンチポップがはやったのだろう。このアルバムを聴きながら思うのは、曲のかわいさ。日本にはかわいいものを愛でる文化があるけど、ミッシェル・ポルナレフの曲たちはまさにかわいがられる対象にぴったり。英語じゃなくてフランス語というのもかわいい印象を強くさせている。79分の収録時間を心軽やかに過ごせる音楽がいっぱいだ。午前11時ごろに聴きたい1枚。

【購入データ】購入店舗=福岡福重店。購入日=2018年5月。日本盤。帯なし。

 

ザ・レイ・エリントン・カルテット「THAT‘S NICE!」

280円コーナーのほとんどはポップスとロックで占められていて、ジャズとクラシックやその他ワールドミュージックは数が少ない。そんな中からジャケットが気になったものをポイポイと買ってみた。

レイ・エリントン。ジャケットは赤と黒の配色で、下着の女性が写っている。左端にはレイ・エリントンと思われる人物の顔写真が縦に3つ並ぶ。女性の写真と並ぶといやらしそうに見える。パッと見で時代が古そうな感じがしたので、そういう音を期待して聴いたらバッチリ。

このレイ・エリントンという人はドラマー兼ボーカルで、このアルバムは1959年に録音されたものだそう。「ジャズ」のイメージ通りの演奏を聞かせてくれる。ピアノはパンクみたいな激しさがあり、ギターはゴキゲンな感じで音を出しまくっている。聴いていて楽しくなってくる音楽だ。

のちの時代になるとジャズは大衆性を失ってしまうけれど、このアルバムにはジャズがポップスだったことがしっかりと刻まれている。たった280円の割には何度でも聴けるほど。休日の午後に聴いていたい1枚って感じ。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年5月。輸入盤。状態はきれい。

ザ・ハイロウズ「タイガーモービル」

初回限定盤という言葉に惹かれてしまうのはどうしようもないサガなんだろうか。このCDの初回限定盤はなんと虎皮使用。獣の毛の触り具合がたまらない。これが280円になっちゃう時代なんですね。

①②はパンキッシュでテンポの速いロックンロール。ガンガンにノれるし、トバしてる。ただ、ハイロウズのコンセプトは③以降にあると思う。特に④アレアレはブルースな空気感もあって、横ノリできる。その後もチャック・ベリーやジェリー・リー・ルイスみたいな1960年前後のロックンロールや、ザ・フーみたいな曲が続く。

ハイロウズはブルーハーツとはやっぱり違う。自分たちが大好きなロックンロールを楽しくワイワイやろうぜというのがバンドのコンセプトなんだと思う。歌詞の意味は深読みしてもいいし、聞き飛ばしてもいいだろう。あまり考えすぎてもしようがない。バンド側も肩の力を抜いているんじゃないか。聴いている側も肩の力を抜きたい。

なにはともあれ初回限定盤だ。これが280円で買えるのはうれしい。ちょっと前ならなかったけど、今なら普通なのかな。ロックンロールで元気になりたいときに聴きたい1枚だ。

【購入データ】購入店舗=飯倉店。購入日=2018年5月、ハイロウズのCDはたまに280円コーナーで見かける。