ロバート・ジョンソン「キング・オブ・ザ・デルタ・ブルース・シンガーズ VOL.2」

有名なブルースシンガーのロバート・ジョンソンの作品。ロバート・ジョンソンは十字路で悪魔に魂を売って、ギターテクニックを手に入れたなんていう伝説が残っている人物。1930年代に録音されて、このCDのオリジナルは1970年発売。買ったのは期間限定生産1000円のもので、日本盤帯つき。

どの曲もすばらしい。お気に入りは⑥ゼイアー・レッド・ホット。ノリのいい小品だ。この世に残した録音作品が少ないので、その後にでた「コンプリートレコーディング」を買うのもいいかもしれない。ブックオフなら安い値段であった気がする。持っているのにまた買おうとしてしまったくらいに安かった。それくらいロバート・ジョンソンは持ってて損はない。

コンプリートレコーディングスを買ったのは大学生のときで20歳前後だったとは思うが、あんまりピンとこなかった。当時は音楽的視野が狭くて、テンポの速いロックンロール以外は聴けなかったのだ。だけど数年経つと、不思議と聴けるようになっていた。30代半ばともなると、むしろリピートしてしまうくらい。

口惜しいのはVOL.1を見つけていないこと。音楽界の重要人物とはいえ、今の時代ではCDは安くなっている。流通量も多いようで、ブックオフでロバート・ジョンソンのCDを見かける頻度は高い。いい時代なんだなと思う。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年4月。

ザ・ロジャー「グロウン・アップス」

日本盤の帯には「生粋の音楽オタクが生み出した、完全無欠のポップネス」とある。元ファンジン編集長が率いるバンドだそう。

発売は2006。イギリスのバンドだ。冒頭から確かに全開ポップ。ザ・ストロークスからのガレージロック・リバイバルの流れにあると思う。シンプルなロックンロールで美メロ。2分台の曲が多くて、あっという間に聴きおえてしまう。

現在、このザ・ロジャーというバンドがどうなっているかは分からない。セカンドアルバムを同じく280円コーナーで手に入れているので、1枚だけで終わったってことはないはずだ。このアルバムを聴いていると、あまりにもポップなのでそこそこ評価されたのではないかと思うが、売れたという評判も聞かない。

音楽オタクとかファンジン編集長とかいうフレーズが受けなかったのかもしれない。オタクがプロの世界にやってくると、プロの目は厳しくなってしまう面は否めない。オタクとして評論家然としていたヤツがさて何を聴かせてくれるのかとハードルが上がるのだ。漫画「ラーメン発見伝」では主人公がラーメンマニアとプロから何度も言われ、プロとアマチュアには明確に違いがあることが描かれている。うまいラーメンを作れるだけではプロではないというのだ。じゃあうまいロックンロールをできるだけでは…。

こんなことを考えてしまうのは、このアルバムのデキがいい割には、それに見合う評価を得ていないように思えるからだ。なんかアイスクリームを食べながら聴きたい1枚だ。

【購入データ】購入店舗=福岡福重店。購入日=2018年5月。日本盤。ほかの店舗でも280円コーナーで見たことがあるので、常連かもしれない。

the Hondells「Go Little Honda and The Hondells」

ザ・ホンデルズと読むのかな。ジャケットの見た目から1960年代前半のロックバンドと予想。実際にその通りで、これは1stと2ndを1枚のCDにカップリングしたもの。オリジナルは1964年発売。

ビートルズよりもビーチボーイズ寄り。なんたって1曲目のリトルホンダがビーチボーイズのカバーなんだからそりゃそうか。ほかにはテケテケテケしてるベンチャーズっぽい曲、サーフロックって感じの曲がチラホラ。全24曲アルバム2枚分の60年代前半ロックンロールをしっかり堪能できる。もう完全にジャケットから想像できる通りの内容で満足だ。

ちなみにこのバンドはウィキペディアの日本版には項目が存在しない。もちろん英語版にはある。活動期間は1970年までとあり、当時はアルバム2枚しか出していないみたいだ。よく読めば、セッションミュージシャンが集まってスタートしたバンドとある。だから演奏は同年代バンドのなかではできた方なのだろけど、オリジナリティに欠けるせいか知名度はあんまない。

CDについてる英語のライナーノーツには「ホンデルズは1965年に分裂した。そもそもリアルなバンドじゃなかった」「スタジオプロダクトでしかなかった」とある。ようするにちょっとしたお遊びバンドだったわけなんだな、きっと。個性は強くないけど、ノリノリなロックンロールとしては優秀。外に出かけるときに聞きたい1枚。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年5月。輸入盤。あまりブックオフで見ない。

クリーム「カラフル・クリーム」

いわゆるロックの古典と評されるアルバムがブックオフの280円コーナーにあることは、そんなに多くはないが、かといってまったくないわけではない。そうは言ってもこのCDを見つけたときはうれしかった。アマゾンやメルカリでチェックしたけど、280円にはかなわない。ブックオフが一番得だ。見つけられればだけど(ちなみに750円程度でならブックオフでも簡単に見つけられる)。

このCDはエリック・クラプトン、ジャック・ブルース、ジンジャー・ベイカーがいたことで有名なクリームのセカンドアルバム。1967年11月発売で、イギリスだけでなくアメリカでもヒットし、ブレイクを果たすことになった。クリームはライブでのインプロビゼーションがすばらしく、ライブ盤が人気。そのなかにおいて、このアルバムはすべてスタジオ録音、全11曲がそれぞれ短く、約35分に収まっている。その分だけコンパクトにバンドの魅力を味わえるのでオススメだ。

これだけの名盤なので曲ごとの感想を述べるのも、なんだか恐れ多い感じ。なるべく大きな音で聴いた方がいいってくらいかな。

近頃はブックオフの経営が厳しいんじゃないかと言われることが多い。アマゾン、そしてメルカリが広まって、ブックオフにものを売らなくなったというのだ。確かに手間さえ我慢すれば自分で値段をつけて売った方が高く売れるはず。それでも、買う側から考えればブックオフはまだまだ捨てたもんじゃない。欲しかったCDが280円で売っていることはまだある。メルカリは買う側からすると高い。ブックオフに売る人がいなくなると困るけど、今はまだ大丈夫そうだ。

鉄板のアルバムで興奮したいときに聴きたい1枚。

【購入データ】購入店舗=飯倉店。購入日=2018年5月26日。輸入盤。メイドインU.S.A.。280円コーナーではあまり見ない。

グレイト3「ロマンス」

ギターポップかなと想定して購入。いい意味で裏切られた感じ。

ちょっとサイケデリック。歌詞を大事にしているようで、心のモヤモヤを言葉にしようとしてメロディーに乗せている。もどかしい気持ちを歌にする以上、暗さはあるのだけど、サイケなアレンジがどんよりした気分にはさせない。ただただ浸れる。

発売は1997年6月。21年前というのに驚き。古さを感じない。①から⑤の流れはすばらしい。⑥は小休止のインスト曲。⑦はソウルフル。⑧はエロチック。⑨はあやしげな雰囲気をかもし出すインスト曲で、⑩はこのアルバムの中心曲かな。⑪は遊び心、⑫はカバー。捨て曲がなく、グレイト3のアルバムは初めてだったが、これが最高傑作と呼ばれているのだろうなと思ってしまうほどのデキ。リアルタイムで出会いたかったなあ。

雨の日に聴きたい1枚だ。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年3月。グレイト3のCDは280円コーナーでたまに見かける。

マッシヴ・アタック「コレクテッド」

てっきりリミックスCDかと思っていたら、1曲目から知っている曲がそのまま流れてきて、ベストアルバムだと知る。マッシヴ・アタックがベストアルバムを出していたとは知らなかった。あまりらしくない感じはする。

発売は2006年。それまでに発売されていた4枚のアルバムからセレクトされている。新曲は⑭。ボーナスディスク付きの限定盤もある。買ったのは通常盤。

どんなジャンルなのかと表現したくても難しい。ダンスミュージックなかと思いきや、踊るというものでもない。とにかく重く、暗い印象を受けるのだ。とにかく①SAFE FROM HARMを聴けばいい。この曲をいいと思うかどうかで、合うかどうかが分かると思う。それだけ①はキャッチャーなのだ。

初めて1st「ブルー・ラインズ」を聴いたときから印象は変わらない。どうやったらこんな曲を思いつくんだろうって不思議でならない。夢見心地でいながらも、全く逆で冷めてもいる。ポップソングのように聴きやすくはないが、美しさがある。聴くことに集中させる音だ。お気に入りは⑥PROTECTION。

眠れない深夜に聴きたい1枚。

【購入データ】購入店舗=福岡飯倉店。購入日=2018年5月。マッシヴ・アタックのCDを280円コーナーで見ることはあまりない。

【追記】2枚組のスペシャルエディションを280円で見つけた。絶対に2枚組の方がいい。むしろ2枚目こそ聞きたい。見つけたのは日本盤。ライナーノーツには3Dによるディスク2の解説まで付いている。ディスク2の方がすごく聴きやすい。

【購入データ】購入店舗=駒沢大学店。購入日=2019年1月。

MAD3「TEENAGE DELINQUENT!」

ギターウルフが好きで10代のころから聴いているのだけど、その流れで知ったのがマッド3。3人組でギターウルフと同じく、革ジャン、サングラス、リーゼント。最新のマッド3がどんな見た目をしているかは分からないけど、当時はそうでした。で、今回280円で買ったCDはそんな格好してる。1998年発売で、メイドインU.S.A.。タワレコのサイトで確認すると廃盤になってる。

基本的にはインスト。つまり歌なし。ゆがんだギターの曲もあれば、軽快でポップな曲もある。パンクもあるし、ベンチャーズのカバー「キャラバン」は原曲に忠実なアレンジ。ギターウルフに比べると、音はかなり聞きやすい。演奏もうまい。

①NEW WORLDのゆがんだギターが気持ちいい。④K.C.H.C.はパンキッシュ。⑤TWANGY EDDIEは一転して1960年代前半の雰囲気を持つポップな曲になる。⑥まではTEENAGE SIDEで⑦からはDELINQUENT SIDEと区別されている。⑨がベンチャーズのカバー。⑩SHININGはスペインチックなアコギで始まって、おやっと思ったら爆音ギターが鳴り響く。⑪BABY BABYは歌もの。

好きな音楽をやってます!みたいな勢いがたっぷり感じられるのでこのアルバムには好感触。爆音でCDを聞きたいときにかけたい1枚です。

【購入データ】購入店舗=天神店か六本松店。購入日=2018年3月か4月。傷なし。マッド3のCDはブックオフであまりみない。

ベン・フォールズ・ファイブ「ベン・フォールズ・ファイブ」

280円で買えるCDの中で間違いのないCDはベン・フォールズ・ファイブだと思う。どこのブックオフに行ってもたいてい売ってる入手しやすさも高ポイント。

このバンドはギタリストのいないロックバンドという珍しい編成。ボーカルのベン・フォールズがピアノを弾きながら歌っている。紹介するのは1995年発売のデビューアルバムで、この時点でバンドのコンセプトも曲のよさも完成されているといっていい。

キムタクのドラマにこのアルバムからの曲が選ばれているのだとか。ドラマのタイトルはロングバケーションだったかな。人気ドラマの挿入歌に選ばれたということは、普段は洋楽を聴かない人にもウケると判断されたからに違いない。じゃなきゃテレビは選ばないだろうし。

1曲目からとにかくポップ。美しいメロディーに衝撃が走る。ハズレ曲なしのまんま最後まって駆け抜ける。英語が分からなくても、後ろ向きな曲ではないんだろうなって、聴いているだけで明るく前向きな気分になれる。

初めてベン・フォールズ・ファイブを知ったのは。フジロックフェスティバルのライブCDで。98年だったか、会場を東京に移してフジロックをやったことがあって、その後、2枚組みのCDが発売されたわけ。イギー・ポップやシーナ&ロケッツ、ブランキージェットシティーにプロディジーも! プライマルスクリームの「バーニングホイール」はカッコよかったし、ケムリも参加してたはず。この豪華なメンツのなかにベン・フォールズ・ファイブもいた。しかも日本語で「金返せ」って歌ってた。そのときはコミカルなバンドかなと思っただけだったんだけど、改めてオリジナルアルバムを聴くと、切なさも含んでる。エモというジャンルがあるけど、それだ。天気のいい日曜日にかけたくなる一枚です。

【購入データ】購入店舗=六本松店、購入日=2018年3月か4月。輸入盤。傷なし。国内盤も280円であるはず。どこの280円コーナーにも1枚はベン・フォールズ・ファイブのCDがあるはずです。

BOOWY「〝GIGS〟JUST A HERO TOUR 1986」

かの有名な「ライブハウス武道館へようこそ」のMCが生まれたという1986年7月2日のライブを収録。発売は1989年12月24日になってます。ようは再発盤でしょう。BOOWYは今までまともに聴いたことがなく、280円であったからとりあえず買ってみたという程度。知っている曲もほぼない。そんなんで聴いてみたけど、当時の若者がかっこいいと思ったのも分かるかな。

BOOWYがヴィジュアル系かどうかはなんとも言えないが、後のヴィジュアル系バンドには多大な影響を与えている。特にボーカルの氷室京介の歌い方を参考にしている人は多い印象。それだけBOOWYの時点で完成されちゃっているとも言える。

演奏はタイトでソリッド。大味なところがない。声にも音にも色気を感じる。メロディーへの歌詞の乗せ方はとてもすばらしい。ただ、歌詞の内容は真剣に聞くようなものじゃない。楽器ではベースの音がしっかり聞こえるのがグッド。次から次へと曲が繰り広げられ、息つく暇がない。シリアスなイメージがあったけど、⑦ホンキー・トンキー・クレイジーなんて明るい曲もある。⑨DREAMIN‘のイントロなんておどるポンポコリンかと思ったくらい。

で、肝心のMCは⑩IMAGE DOWNで。サビを客に歌わせているところに「ライブハウス武道館へようこそ!」と氷室が叫ぶ。さらに続けて、「ライブハウス武道館へようこそ」と今度はおちゃらけた感じで言う。最後は「ここは東京だぜ! OK(笑い)」とトドメの一言を放つ。

正直、全然カッコよくないのだ。とにかく氷室がこのライブを楽しんでいるってことがよ~く伝わってくるMC。伝説化したのもこのライブやこのライブ盤を共有した人たちがバンドと同じく武道館ライブを楽しんだからこそ記憶に残り続けたんじゃないのか。何回聴いてみてもこのMCの部分はカッコいいというより、ほほえましいという言葉がふさわしい。

BOOWYについて誤解していたんだろう。スカしたカッコつけバンドと思っていたけど、音楽が、バンドが好きな人たちの集まりだったんだ。純粋だったからこそハイテンションなMCが生まれたんだ。シンプルな日本語ロックを聞きたくなったらこの1枚。

【購入データ】購入店舗=六本松店。購入日=2018年3月。汚れあり。特に歌詞カードは飲み物をこぼした跡が大きく残ってパリパリしてる。BOOWYのCDを280円コーナーで見ることは少ない。このCDはのちの完全収録盤が出ているので、特に安くなりがち。

CAST「ALLCHANGE」

キャストというバンドについては全然知りませんでした。発売が1995年。イギリスなので、いわゆるブリットポップというオアシスVSブラーで注目されたムーブメントの中で出てきた新人バンドなのかと思って、手に取ったという次第。ようは期待はまったくしてなかったわけだけど、これがまた良かった。

1曲目のALRIGHTから丁寧な音作りで美しいメロディー。ボーカルの声も曲に合っている。「まるでザ・ラーズみたいだな。というかラーズのフォロワーバンドかな」と思ったくらいに、ラーズ節。ラーズは好きなので、このバンドも一気に好きになったくらい。

調べてみたらラーズっぽいのには理由があった。国内盤だったのでライナーノーツを読んだら、キャストのボーカルであるジョン・パワーはもともとラーズの中心メンバーだったというのだ。ラーズではリー・メイヴァースしか知らんかったもんで…。中心メンバーが新たなバンドで自分のやりたい事を発揮したんだから、そりゃあラーズっぽくなるでしょう。好きな音楽やりたい音楽は変わっていないのだろうし。

ちなみにライナーノーツを担当しているのはかつて存在した音楽雑誌スヌーザー編集長の田中宗一郎氏。こちらもしっかりとタナソー節でいてくれている。

捨て曲なし。すんなり通しで聞けるから曲順もいいのだろう。一番好きなのは⑨WALKAWAY。バラードというほどではないミドルテンポの曲。⑪HOUR GLASSはボーナストラックだけど、流れを妨げていない。⑬TWO OF A KINDはラーズの1stアルバムの最終曲「ルッキンググラス」を思い出してしまった。曲終わりに再生を続けると隠しトラックへ。10分以上早送りしてようやく曲スタート。まあこれはなくていいかな。

ブリットポップというムーブメントはたくさんのバンドを生み出したけど、消えていったバンドも多かった。リアルタイムで聞く分にはよく思えても、後から聞くとパッとしないなんてことはザラ。キャストはラーズからの流れであることを思えば、ブリットポップとは別枠。ただ、時期がブリットポップ期だっただけに、その中のひとつのバンドとして消化されてしまったのかもしれない。ブリットポップ終焉とともにバンドも崩壊している(のちに再結成している)。

アコースティックな手触りのする美メロを堪能したいときはこの1枚って感じです。

【購入データ】購入店舗=天神店。購入日=2018年3月か4月。日本盤で帯つき。傷なし。このCDは必ずってほどではないが、280円コーナーで見る機会が多い印象。