ポール・ウェラー「ワイルド・ウッド」

1993年発売のソロ二枚目。日本盤。調べるとこの日本盤はオリジナルと曲が違うらしい。確かにフット・オブ・ザ・マウンテンという曲がない。しかもこれは全13曲で、本当は16曲というのだ。買ったのはポニーキャニオン盤だが、後日、ユニバーサルミュージックから再発されたのがあって、これはイギリス盤に準拠しているようだ。そちらも手に入れてみたい。デラックスエディションが出ているから安いはず。バージョン違いを気軽に買えるのが280円に良さだな。

ポール・ウェラーのソロには枯れたイメージを持っていたが、これはそんなことない。もっとも、ジャムやスタイル・カウンシルにあった勢いはない。歳の割りには歳喰った音楽をしているというのは正直な感想だ。ウェラーは1958年生まれ。このアルバムが発売されたのは35歳のころか。今の35がこんな落ち着いた音楽はしないような気がせんでもない。

④の落ち着いていながらも徐々に手に力が入る感じがいい。アルバム後半になるにつれ、どんどん引き込まれていく。

【購入データ】購入店舗=六本松。購入日=2018年5月。よく見かける。

サテライト・グルーヴス「atoms,molecules,and rain」

2002年発売。事前情報なしにとりあえず手を取ってみた。ジャケットからテクノっぽいと判断したが、果たしてそうだった。エレクトロニカという感じ。調べると一人の人間によるプロジェクトだそうだ。

①glitches killが導入としてすばらしい。優しい音でリラックスさせてくれる。それでいて明るい。②electric waterを聴いてみてもやはり優しさを感じる。あたたかみというか。轟音じゃないときのモグワイみたいな印象もある。

もっとも全編がこんな調子なので飽きがくるかもしれない。それでも癒やしの音楽だからとりあえずかけてのんびりしたい。280円ということを考えればすばらしい一枚だ。

ジャケットには全9曲だが、トラックには⑩もある。2分ぐらいすると曲が始まる。隠しトラック扱いなのかな。

【購入データ】購入店舗=天神。購入日=2019年2月。

スペンサー・デイヴィス・グループ「ザ・ベスト・オブ・スペンサー・デイヴィス・グループ」

1992年発売のベストアルバム。日本盤で帯付き。帯には日本初CD化とある。1960年代に活躍したイギリスのロックバンド。スティーヴ・ウィンウッドがいたことで有名。

60年代のイギリスのロックバンドといえば、ビートルズにフーにストーンズ、そしてキンクス。それ以外にもいっぱいいたうちの一つがこのバンドだ。

スモールフェイセスみたいなモッズではない。もちろんフーじゃないということでもある。じゃあストーンズみたいに怪しげかというとそんなこともない。ビートルズほどのポップさはない。しいて言えばキンクスが近いか。いやキンクスほどヘビーな感じもない。

⑤バック・イントゥ・マイ・ライフ・アゲインはすばらしい。インストの⑥ワルツ・フォー・ルマンバも流れとしていい。こうして聴いていると〇〇みたいという表現は不毛なんだと気づく。このバンドはこのバンドで個性があるのだ。

ブルースはもちろんだがジャズやソウルもルーツに感じる。前14曲でどれもノリがいい。繰り返し聴きたい。

古いCDだけど音がこもって聴こえるというようなことはなく快適に聴ける。

【購入データ】購入店舗=荻窪。購入日=2019年6月。

王様「王様の恩返し」

1996年発売。ファーストアルバム。王様といえば、王冠に赤いマントでコミカルな格好をしていて、洋楽のロックスタンダードを直訳した歌詞で歌うミュージシャンだ。歌詞も注目だけど、ギターをコピーしているのがすごい。

見た目はふざけているが、ユーチューブで見られる王様の雄姿はすごい。どんなところでも演奏可能。一人で登場し、CDラジカセのオケに合わせて、ギターと歌を披露。どこでも大盛り上がり。しかも、これらの映像は最近のもの。今でも王様は王様としてしっかり活動しているのだ。

そんな王様の代表作だけに、魅力がたっぷり。①高速道路の星は定番ナンバー。歌詞の外し加減も考えたのか天然なのか、すばらしい。

ディープパープル以外にはジミヘン、ストーンズ、ツェッペリンなど。オリジナル曲も1曲ある。サマータイムブルースはザ・フーのバージョンかな。ハードロックばかりというわけでもないのだ。

好きなロックナンバーを弾いて、歌うのは楽しそう。特にブラウンシュガーがいい。あとファイヤーも。どっちも直訳にするとわいせつだ。というか、こんな歌詞の洋楽は多いんだろうな。

ちなみにオリジナルの⑪王様の恩返しはブルースちっくな導入。そこからハードな展開に。ベースにあるのはツェッペリンだろう。歌詞は自伝的な感じ。

【購入データ】購入店舗=天神。購入日=2018年9月。

ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロ―ジョン「エクストラ・ウィドゥズ」

1993年発売。輸入盤。古いCDだから音質が悪く聴こえるのか、そういう録音なのか。ギターの音が生々しくてすごい。音が小さいから、ヘッドホンで大音量にして聴きたくなる。というか実際にそうしている。

ブレイクするのは次の「オレンジ」からだそう。そうはいってもこのアルバムにもパワーがあるから聴いて損はなかった。1曲ごとのまとまりと言う点では「オレンジ」や「アクメ」「プラスティック・ファング」が優勢だが、エネルギッシュである点はこのアルバムもそう。

音の歪み具合が「こういうの聴きたかったんだ」と思わせてくれて、ちょうどいい。買ってよかった一枚だ。

ただ本当に音がこもってる感がある。このCDだけなんだろうか。⑤からは少しクリアに聴こえた。

【購入データ】購入店舗=天神。購入日=2018年9月。

メタリカ「セイント・アンガー」

2003年発売の8枚目。輸入盤。DVD付き。というか、買ったらCDが入っていなかった。つまり、DVDだけ。まれではあるが、ブックオフではありえること。しかも280円だ。店員の集中力も低くなるだろう。280円モノを触っているときは。

CDはないからその中身については何とも言えないが、DVDが思いのほかよかった。CDの曲順通りのスタジオライブ。メタリカにはもっといかついオッサンでもっと重厚、言葉を変えると鈍さがあるとのイメージを持っていたが、このアルバムではなかなかスピーディーで見た目も若かった。

メタリカのCDはほかに何枚かあるけれど、そんなに聴き込んでいるわけではないので、このアルバムがメタリカとしてどうなのかというのは分からない。ただ、いいアルバムなんじゃないかな。DVDの感想だけど。

④ダーティ・ウィンドウがパンキッシュでありながら、曲展開が面白い。⑧スウィート・アンバーは勢いを感じる。ドラムがけん引している。

メタルといわれるけど、ギターソロがあんまない。だからメタルのイメージを持ちすぎると肩透かしを食らいそう。かといってハードロックと一言にも言い難い。もちろんパンクでもない。やはり重さがある。そして一曲が長め。

スタジオライブではボーカルがアイドル並みに服を着替えている。ボーカルのTシャツの変化も楽しめた。まあ、そんなことはどうでもよくて、DVDはとにかくいい。CDがなくてよかったくらいだ。

【購入データ】購入店舗=天神。購入日=2018年9月。

ザ・カスタネネッツ「リビング」

1996年発売。デビューアルバム。良質なギターロックバンドと言う感じ。丁寧な演奏とアレンジ。かすれそうなボーカルの声。90年代にはこんなバンドが多かったように記憶している。

③僕はそれがとても不思議だったがベストトラックかな。そこまで売れなかったのは個性が際立っていなかったからかもしれない。メロディーはポップではあるが、ものすごくポップという域ではない。演奏は丁寧だが、それだけだ。落ち着いて聴けるので気に入れば何度でも聴くアルバムになるのだろう。

【購入データ】購入店舗=六本松。購入日=2018年11月。

セルジオ・メンデス「セルジオ・メンデス・ソングス・セレクテッド・バイ・シンイチ・オオサワ」

2002年発売。文字通り大沢伸一氏がセレクト。セルジオ・メンデスはボサノバの代表的な有名人だが、これはベストアルバムみたいなもので、あまりよく知らなかった自分でも知っている曲が入っている。

②のデイトリッパーはビートルズのカバー。ボサノババージョンになっていて、この曲から雰囲気をつかむのもいいかもしれない。ボサノバではあるがちゃんとデイトリッパーしているので、そういう意味ではビートルズもすごいと再確認できる。曲の個性がしっかりしているのだ。

ボサノバ初心者だったけど、すんなり入っていける。ボサノバというジャンルの間口の広さゆえなのか、セルジオ・メンデスのすごさなのか。どちらもだろう。とにかく何かボサノバを聴いてみたいというならおすすめできる。

⑤おいしい水、⑥マスカレードの流れがいい。⑦ザンジバルはコーネリアスが昔発表したペレ(確かそんなタイトル)という曲の元ネタじゃないか。というかカバーといっていいかも。⑧もどこかで聴いたことある…と調べたらバッファロー・スプリングフィールドの曲のカバーなのか。

こうして聴いているとどの曲も後世への影響を感じさせる。行ってみれば宝箱というかオモチャ箱のようなアルバムだ。どの瞬間もオシャレ。真似たくなるのも当然だ。

【購入データ】購入店舗=天神。購入日=2018年10月。

神聖かまってちゃん「つまんね」

2010年発売の二枚目。すごくいい。モロにマイブラで、だけどマイブラとは違って、それがすごく気持ちいい。

歌詞はネガティブに聞こえるが、音と合っていて歌詞の世界もすんなり受け入れられる。①②③の流れがすばらしい。

ちょっと七尾旅人っぽいところがある。ガリバー2みたいな。④芋虫さんを聴いていて思った。だからダメということはない。

ただ激しくゆがんだギターってだけでなくて、どこか美しさがある。定期的に聴きたい。捨て曲ナシといっていいかも。

【購入データ】購入店舗=吉祥寺。購入日=2019年5月

喜多郎「the light of the spirit」

1987年発売。シンセサイザー奏者として世界的に有名。このアルバムの曲がグラミー賞にノミネートされている。

喜多郎氏のCDはいくつか聴いてきたが、どうも入り込めたことがなかった。この作品はなかなかの壮大さである。シンセサイザーなのに目をつぶると頭に浮かぶのは自然の風景だ。③なんかは夜の砂漠が思い浮かぶ。

日本人だからというのが分かっているからなのか、音楽が日本的に感じる。④は田舎の風景って感じ。朝も夕焼けもある。

日本人の音楽で海外で評価される場合、日本的であることが大事みたいだ。喜多郎氏のこの作品は和テイストにあふれている。最近のベビーメタルも実に日本的である。媚びるように洋楽に寄せてしまうとむしろダメなんだろう。ギターウルフだって日本でやっていたままが評価されたわけだ。グローバリズムといわれる中で日本はガラパゴスだと批判されるが、むしろガラパゴスであることが世界で売れるための秘訣なんじゃなかろうか。音楽だけじゃなくいろんなことに言えることだと思う。その個性を普段から大事にしていきたい。

このCDを聴いてそう思ったね。

【購入データ】購入店舗=天神。購入日=2019年1月。喜多郎氏の作品は結構見かける。