シガーロス「ヴァルタリ~遠い鼓動」

2012年発売。アイスランドのポストロックバンドの6枚目。

シガーロスのアルバムは何枚か持っているけど、どれも神秘的で静謐な感じ。ポップソングのような分かりやすさはないはずなのに、柔らかい音だからじっくり聴いていられる。ボーカルの声、アイスランド語、壮大なアレンジ、ゆっくりとしたテンポがいいのだろう。

ただ、このアルバムは1曲目のつかみが弱いかな。ほかのアルバムでは1曲目の美しさが際立っていた。それはともかく、全体としてはシガーロスのイメージ通りだから、違和感なく聴けるはず。

【購入データ】購入店舗=西新。購入日=2018年12月。ゲオの350円コーナーで。半額セールだったかは忘れた。

nico touches the walls「runova×handover」

2004年結成の日本のオルタナバンド。これは06年発売のミニアルバム。このバンドのことはよく知らないが、メジャーデビュー前と言われないと分からないくらい、この時点でしっかりしたバンドになっている。ロックという先入観に惑わされず、③のようなしっとりした曲調もあり、メインストリームでやっていくんだという意思を感じる。というか半分はミディアムテンポの曲でイメージと違った。遅いテンポのときのギターの音が丁寧でいい。

このアルバムだけの判断だとほかの曲を聴きたくなるようなほどの個性が若干足りない。キラーチューンもない。平均以上なんだとは思うけど。

【購入データ】購入店舗=天神。購入日=2018年12月。

v.a.「i was a yeh yeh girl」

2002年発売。日本盤。帯付き。全15曲。イタリアのラウンジ・ミュージック専門誌「ilgiaguaro」による日本限定の企画CDだという。ちょっとよくわからないけど、イタリアの1960年代の音楽に触発された現代のアーティストたちによるコンピレーションのようだ。

1曲目は最高。2曲目も最高。3曲目はまあまあ。つまり最高の頻度が高いのだ。参加アーティストはdoing time、vip2000、モンテフィオリ・カクテルなど。

とにかくダンサブル。テクノのようなダンスミュージックではないが、それ以上に躍らせる音楽だ。60年代に若者がダンスホールで集まって踊っていた音楽を現代風にした感じ。

さすがに15曲もあると中盤からダレてくる。しかし、それでもすばらしいアルバムなのは間違いない。買ってよかったと心から思える一枚だ。イタリアっぽいといえばイタリアっぽい。これで地中海に思いを馳せたい。

【購入データ】購入店舗=浜田山。購入日=2019年5月。

B.B.king&エリック・クラプトン「RIDING with the king」

2000年発売。ジャケットがいい。クラプトンが車を笑顔で運転し、後部座席にドカッとキングが座る。黒いスーツに白いシャツがとてもりりしく見える。ブルース界の巨人なんていわれるキングだけに、存在感がある。

正直、初めて聴いたときはピンと来なかった。何回か聴いてようやくいいなと思えるようになってきた。②ten long yeasは典型的なブルース。①のタイトル曲みたいにポップさがある曲より、②のようなコテコテの方が聴きごたえがある。

その後もブルース曲多めの中にポップソングが混じる感じで展開する。聴き手を飽きさせない工夫なんだろうか。確かに効果がある。

最初聴いたときにピンと来なかった理由は⑪hold on im comingにある。サムアンドデイブのカバーなのだけど、オリジナルの方が圧倒的によく思えたのだ。何度か聴くうちにギターがよく感じたり、粘っこいアレンジも悪くないと思えたり。

ようはこのアルバムを聴くなら、2人の全盛期のアルバムを聴けばいいじゃないかと感じてしまったのだが、このゴージャス感を気軽に楽しめばいいのだろうな。

【購入データ】購入店舗=天神。購入日=2018年10月。

コーネリアス「96⚡69」

1996年発売。「69⚡96」のリミックスアルバム。収録時間は69分。96トラックというこだわり。

もとになった「69⚡96」を買ったのは中学時代だったか。初回限定盤のピンクビニールのやつで本当によく聴いていた。だからこのアルバムも聴きやすい。リミックスというとちょっとアレンジが違うくらいかなと思いがちだが、結構変わっているのもあって楽しい。

リミックスを担当しているのは砂原良徳、思い出波止場、石野卓球、スチャダラパー、hideなど。

④volunteer ape man(disco)は石野卓球だけど、自分の土俵に持ち込んでやっている。もちろん好き。⑤1969はスチャダラパーの曲になっている。というかそもそもリミックスできるような曲だったっけ?

すごく楽しみにしていたのが⑨ヘビーメタルサンダー。hideが担当。原曲は後半の展開がとてもすばらしくて何度も繰り返し聴いたほど。ギターの曲だからhideがやったらどうなるかというのも見もの。ところがだ。ギターはいいんだけど、後半の展開がばっさり切られてるのが残念。この曲の肝は後半じゃないかと。

96トラックあるうちのほとんどは波の音。69曲目にwelcome to jungleのライブバージョンが収録。この「木魚」の連呼は元のアルバムでも印象的だったな。96曲目はお遊びみたいなもの。

もとのアルバムを知っていればそこそこ楽しめるはず。

【購入データ】購入店舗=吉祥寺。購入日=2019年9月。

V.A.「fuck the border line」

黒夢のトリビュートアルバム。2011年発売で12曲12組のアーティストが参加している。原曲に近いものからアレンジしまくりのものまであって楽しめた。

①少年はよりハードなアレンジになっている。歌は西川貴教。なんかサッズみたいな感じ。②優しい悲劇はシド。結構そのまんま。黒夢が好きなんだろうなって思った。③マリアはプラスティックツリーで、これも原曲に近い。④c.y.headもそう。the GazettEだけど、あんまりアレンジしようがない曲かも。

⑦フェイクスターはライブバージョンの方がなじみがあるけど、これはアルバムバージョンを意識しているのだろう。SUNSOWLfeatYOW-ROWfromGARIという知らない人の手によるもので、ピコピコしている。⑩ビームスは山嵐feat.MOOMIN。かなりアレンジを加えまくってる。ラップ部はオリジナルだ。⑪ライクアエンジェルはライブではラスト曲として定番だった。担当するのはカスケード。出だしの鼻声にびっくりするが、カスケードっぽいアレンジをしっかししていて面白い。

こういうトリビュートアルバムはそのまんまかがっつり変えるかで全然違う。そこが楽しめる。

【購入データ】購入店舗=吉祥寺。購入日=2019年9月。

ザ・ブリリアント・グリーン「テラ2001」

1999年発売のセカンドアルバム。前作がミリオンヒットしたあとだけにプレッシャーもあったのだろうと思うけど、すごくクオリティは高い。全11曲で5曲がシングルA面になっているほど。B面を入れれば7曲。

こういう場合、シングルに入らなかった残りの4曲がどうかが大事だ。③brownie the catは英語詩。①②のシングル曲からの流れを切っていない。⑥セプテンバーレインも英語詩。④⑤も英語詩なので真ん中に固めているのかな。この曲はサビの「セプテンバーレ~イン」がきれい。

⑧round and roundも英語詩。ちなみに⑦も。この⑧はちょい地味な曲かな。⑩cant stop cryinはシングル曲に囲まれている。全曲の中で一番ゴリゴリとしてロック色が強い。けだるいボーカルもgood。ちな英語詩。

前作が暗いというかクールな印象があった分、今作は少し明るくなったみたい。ほとんどが英語詩なのに驚き。いっそのこと全部というのは事務所やレコード会社が許さなかったんだろうか。まあ日本語詞でいいと思うけど。

【購入データ】購入店舗=六本松。購入日=2018年9月。280円コーナーではよく見かける。

ゆらゆら帝国「sweet spot」

2005年発売の10枚目のアルバム。ゆらゆら帝国は3人組バンドでもうすでに解散している。ファズギターというんだっけか、ギターの音がブオーンとしてて気持ちいい。

スローなテンポで音の数も少ない。隙間が多い音楽だ。じっくり聴かせるタイプのロックンロール。③ロボットでしたはいい曲なのに、中盤によくわからない展開になってしまって残念。④急所はアップテンポの曲。

⑥はて人間は?はイントロからかっこいい。やっぱりこの隙だらけなところがいい。情報量が多くても、無駄なものなら必要ない。ゆらゆら帝国は逆にそぎ落としているんだな。

ほかのアルバムも持ているが、メロディーが独特。ゆえになのか、似た曲が多い。あれどっかほかのアルバムで聴いたなあみたいな。⑨ソフトに死んでいるはクセになりそう。

曲によってはアレンジが期待するのと違っているのがあって、アルバムとしての統一感はない。

【購入データ】購入店舗=ゲオ西新店。購入日=2018年12月。350円。半額セールで買ったかどうかは忘れてしまった。

ソニックユース「RATHER RIPPED」

アメリカの老舗バンドによる2006年発売のアルバム。輸入盤。一時期、ソニックユースにはまった時期があり、もしかしたらすでに所持しているかもと思ったけど買った。280円コーナーにソニックユースを見かける頻度は多くなかったけど、ないわけじゃない。

1曲目から期待通りの音。②はイントロからまさにソニックユースという感じ。歌声もメロディーもそう。聴いていると過去のアルバムを引っ張り出してきたくなる。

はかないメロディーもいいのだけど、インプロを思わせる間奏の方がこのバンドの魅力なのだろう。だから飛ばさず1曲ずつ聴きたくなる。どこでどんな展開が待っているか分からないからだ。ノイズ寄りのアレンジは少ない。一音一音がクリアになっていて、心地いい。⑧もイントロから気持ちいい。

激しい曲はほとんどない。この時期のアルバムはそんな感じが多い。そういう意味では変わり映えがしないのだけど、いつも通りを期待するならいいアルバムだろう。⑪はかつてのダイアモンド・シーを連想させる。ヘッドホンで大きな音にして聴きたい。

【購入データ】購入店舗=伊勢佐木町。購入日=2019年7月。

くるり「魂のゆくえ」

2009年発売の8枚目。ボーナストラック三日月が入っているから初回限定盤なのかな。音楽雑誌スヌーザーでイケイケな発言をしていた印象が強い。その割りには音楽はストレート。いろんなことに挑戦しつつもそう感じさせないのがいいんだろう。

8枚目ともなるとすごく落ち着いている。①から演奏のバランスがいい。②愉快なピーナッツはシングル曲だというのだが、メロディーが歌いにくそうだ。日本語ロックを追及している感がある。はっぴいえんどを思い起こさずにはいられない。上を向いて歩こうみたいなのもあるな。

⑦さよならリグレットを聴いていると、本当に演奏とアレンジは落ち着いていていいな。このアルバムを貫く特徴でもある。⑪のタイトル曲が確かに一番力入っているかも。若干やりすぎのような気もするが、それくらいでちょうどいい伝わり方なのかも。

ボートラの三日月はいい曲。こういう曲がくるりには似合う。

【購入データ】購入店舗=吉祥寺。購入日=2019年5月。